【人形】
黄色いリュック
いつもそこから覗いた
広い青空と
あなたの好きな遊具

頭の中で
未だ響いて残る
はしゃぐあなたの
声音と走る足音

やがてあなたは人目を
はばかるように
心の奥に ベッドの下に
わたしを隠した

ねえわたしは前より
薄れてきたみたい
あなたの泣き顔を
拭ってきたために
ほつれだした縫い目を
ぎこちなく直した
あなたの優しさを
かみしめ続けた


はじめからずっと
縮まることはなかった
背よりもずっと
大きく深い隔たり

いつかこの身を掴んだ
手をなくすまで
わたしは何を どれほどまでを
教えられるだろう

ねえわたしは前より
小さくなったみたい
あなたの温もりを
抱ききれぬほどに
明らかに巡りゆく
あなたを縁取る枠
その枠の全てを
ちゃんと覚えている


居場所を変えた
あなたの抜け殻
いつになったら
忘れてくれるの?


ねえわたしは前より
綺麗じゃないみたい
あなたの苦しみを
飲み干したために
ほつれだした縫い目を
直したその痕が
わたしの心を
縫い止め続けた

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

人形

人というのは、それぞれに接点を持つから出会うのだと思います。

そして一方で、その接点が途絶えるから別れるのだと思います。

もし仮に、人と人との接点が最大限近づいたときに出会うのだとしたら、その距離はその後離れていくこそすれ、再び近づくことはないのではないのでしょうか。

閲覧数:170

投稿日:2014/04/25 19:10:22

文字数:452文字

カテゴリ:歌詞

クリップボードにコピーしました