第三十七話 悪魔の人

 「君には学園をあげて期待しているからね……ああ、そうだ、実に物分かりがいい」

 私の前に立った学園長は、私の発言についてそう言った。
私の「私が学園長室に呼ばれた理由は要するに、すぐれた成績をこの研修で修め、他の生徒たちの手本となるように、ということですか」という質問にだ。

 正直言って、こんなものめんどくさいのだけれど。

 
 私は、ルカ。
魔界の≪悪魔族≫の次期頭首。
だからいつも優秀でなければならない。
皆の前を、堂々と前を向いて、胸を張って、歩かなければいけない。


 「ご用件が済んだなら、これで。失礼します」


 私はゆっくりと学園長室の大きなドアを閉めた。
ちいさなため息が、ひとつ。

 もう、やだなあ。

 私なんかじゃなくたって、頭首になれる人なんて、居る筈なのになあ。
どうして私なんだろう。

 そう思うと、なんだか勝手にため息が出る。



 「やっほっ! な~に辛気臭い顔してんのよっ!」


 ぽんっと、肩をたたかれ後ろを振り返ると、馴染みの顔があった。


 「メイコ……あんたはいいねえ」

 
 メイコ。
私とは違う≪人魚族≫。
普段は人魚の姿だと学校に通えないから、変化しているらしい。
明るい印象のショートボブがよく似合っている。

 
 「いいって何よう、ルカ! あたしだっていろいろと悩み事のひとつやふたつあるんですぅー」

 「はいはい。わかったわかった」

 「もうっわかってないでしょ!」


 いつもこの子はひっつき虫みたいにくっついてくる。
それはそれで楽しいからいい。
むしろ心地よかった。


 「あ、メイコ。私明日から研修だから。人間界の≪江戸時代≫。……あんたは……天界だっけ?」

 「うんったのしみなんだー。でもルカが明日から居ないなんて、ちょっと寂しいかも」

 「めんどくさいし、ちゃっちゃと終わらせてくるから」

 「おーさすが」



 その時は本当にそう思っていたのに。
 本当に、そうだったらよかったのにね。




 私も、そのほうがよかったかも。








 ごめんね。






 ごめんね。


















 ごめんね……。










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ノンブラッディ

ルカちゃんと、メイコさん。
メイコが子供っぽいw

閲覧数:104

投稿日:2013/02/25 20:49:51

文字数:950文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

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  • しるる

    しるる

    ご意見・ご感想

    めーちゃんは、かわいいのが好みなのですw

    というか、全体的にかわいいのが好みなのです←

    2013/03/04 22:28:52

    • イズミ草

      イズミ草

      今までのメイコさんはみんな大人っぽかったのでwwww
      でも、しるるさんの好みでよかったですえww

      2013/03/05 15:37:38

  • Seagle0402

    Seagle0402

    ご意見・ご感想

    メイコさん人魚か…かわいい…
    天界ってどんなとこなんでしょうか??

    2013/03/03 14:30:57

    • イズミ草

      イズミ草

      そう言えばメイコの種族決めてない……
      人魚でいっかww
      って感じで決まりましてww

      天界は所謂天使様たちのお住処なのです!!

      2013/03/03 14:51:19

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