あれから数日が経過した。コンサート爆破事件も、マンション爆破事件も、テロリスト集団【TABOO】の仕業だと報道された。リーダーである弐拍啓輔が行方不明である事も手伝ってか、事実上壊滅に等しい打撃を受け、翡翠や使土を始めとする【TABOO】の人間は表立った行動は出来ず、【Yggdrasil】と協力体勢になっている。
「駄目ですね…やはりこれ以上の高侵蝕者はもう居ない様です。」
「手詰まり、か。啓輔と連絡は?」
「向こうから連絡が無い限りは探知も出来ません。」
「ふぅ…【MEM】の『処刑派』の協力があれば行けるかも知れないがな。」
そこかしこで溜息が漏れる。この所同じ状態が続いてる訳だから当然と言えば当然かも知れないが。
「…あ、あの…失礼します。」
「あれ?香玖夜ちゃん?」
「えっと…詩羽さんから注文のあったあんみつ持って来たんですけど…。」
「は?」
「あ、ごめんごめん。ありがと。」
「その顔で甘党って何か意外だな…。」
「んまいよ?食う?」
「結構です。」
俺にいきなりプロポーズして来た紫陽香玖夜は、料理が得意と言う事で取り敢えず施設の厨房を手伝っている。最近食事や甘味の類が上々の評判らしいけど…。
「お前何時迄此処に居るつもりなんだ?」
「えっ…。」
「桂木堂からも催促電話来てるし、ご両親だって心配してる。実家が嫌なら叔母さん
の所に戻ったらどうだ?」
「あ…あの…あの…。」
「こっちも子供の我が侭に付き合う程暇じゃ無いんだ。判ったら家に戻る準備位して
置くんだな。」
「…ご、ごめんなさい…!」
大袈裟に頭を下げると、香玖夜はそのまま部屋を飛び出してしまった。
「うわ、お前最低。」
「あははは、泣ーかしたー。」
「もう少し柔らかい言い方は無かったんですか?泣いてましたよ。」
「な…何だよ…?」
「俺行って来る、流石にあれじゃ可哀想だろ。」
「何なんだよ、詩羽まで!現状維持なんて無理な事判ってるだろ?!大体何でお前が!」
振り返らずに詩羽まで出て行ってしまった。
「チッ…!何なんだよ…!」
BeastSyndrome -72.激辛あんみつ-
よく考えるとむさい部屋だ
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