「こんなに綺麗な空、はじめてみたよ……」

皮肉にも、私が今まで見た中で一番綺麗な空はあなたが旅立つ今日でした。
重い扉の前であなたとこの世で最後の別れをして、私は今、青空の下にいる。

「煙が……」

空を上る白い煙は、青い空に混ざって、消えてゆく。
風に飛ばされるように靡いて、きっといつか、雲になるのだろう。

「さよならなんて言ってあげない……あげないんだから」

枯れたと思っていたのに、どうして。
涙は少しも枯れてなんてくれなくて、私はまた泣いていた。

ひらりひらりと、緑の葉が足元に落ちて風にさらわれる。

「迷子になっちゃだめだよ、ちゃんと、辿りつくんだよ」

あなたが幸せに眠れる場所へ。

そう願って、私は祈りをささげた。

「――なんて、らしくないかなぁ……」

その時、後ろで誰かが名前を呼んだ気がした。

「――さよなら――」

呼ばれた方を向いて、そう微笑んだ。

心配しないで、私は大丈夫。
だってずっと見ていてくれるでしょう?
私がそこに行くまで、待っていてくれるでしょう?

だからそれまで……。



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  • 非営利目的に限ります
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【サイハテより】さよなら

短くてごめんなさい。
突発的にやりました。

大切なあなたが、どうか幸せに眠れる場所へ辿りつけますように。

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投稿日:2010/08/06 03:28:00

文字数:470文字

カテゴリ:小説

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