第六十六話 さよなら

 「……さようならは、言わないで……」

 ありふれた言葉を、おりんさんが呟いた。
わかってる。
私だって、『さよなら』なんて言いたくないんだよ。

 でも君は知らない。

 これは、『さよなら』なのだと。


 「おりんさん……」


 私が呼びかけると、涙をためた瞳で私を見つめてくれた。

 今私が彼女に伝えるべきことはなんだ。
元気で? お達者で? またね? それとも―――この想いを伝える―――?


 ちがう、どれも違う。


 だってもう会うことはできない。
きっとできないんだ、もう、二度と、私たちが出会うことはない。



 もし会えたとしても私のとってそれは―――まっさらな君だ。






 だから、手を握り締めたいけれど。
涙を拭ってあげたいけれど、慰めてあげたいけれど、抱きしめたいけれど―――また会えると、信じたいけれど―――。







 「さようなら」








 おりんさんは何かを言いかけたけれど、それは言葉にならないまま。




 私は踵を返した。
少しずつ、みんなの待つ方へ。

 私はおりんさんの近くにいすぎたのだ。

 だからこの想いは、寂寥の何物でもない。



 決して―――『恋』ではない―――。





 「れんッ!!!!」



 響いた。



 「私っ! 信じてるわ! また会うことができると!」




 力強く、この異空間に響いた。




 「だから! 私れんのこと、忘れたりしない! 約束よっ!!」




 お願いだから、やめてくれ。


 「……いいわね。門を閉めるわ……」

 学園長がそう言った。
とたんに鈍い音を立てながら閉まっていく。

 ≪魔界≫と≪人間界≫を切り離していく。



 私とおりんさんを、隔てていく―――――。




 「れんっ! またねっ!!!」




 胸に何かが込み上げた。




 そして、無情にも門は閉まった。






 門の扉が完全に閉まる刹那聞こえた、あなたの言葉。
私は、忘れられないでしょう。






 

 ―――れんっ! 大好きよ!












 ああ、私もですよ―――おりんさん―――。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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ノンブラッディ

ああ……もう……。

閲覧数:120

投稿日:2013/04/22 19:11:08

文字数:936文字

カテゴリ:小説

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  • ハル

    ハル

    ご意見・ご感想

    ああ・・・もう・・・・コメントできないほど・・・
    グミが・・グミ・・・グミ・・グミ・・(´;ω;`)
    カイトお前ええええ!優しいな馬鹿ああああ!
    レン君・・・気づいてあげてよ・・・。
    最後まで、グミちゃんは頑張った!背中を押すことができたんだもん!うわあああ
    というわけでちょっと消えてましたヽ( ??ω??)ゝ
    おりんさん・・・

    2013/04/22 21:18:42

    • イズミ草

      イズミ草

      ありがとうございます……
      私もおんなじ気持です……

      もうなんか全部リリカさんの言われちゃったよコノヤロウww

      2013/04/23 20:45:52

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