2月2日があと数分で終わろうとしている。




「明日は節分かー!」

お豆買ってー、恵方巻き作ってー、などと考えている青いセミロングの髪をした女の子が1人。
節分だからといってこんなに楽しみにするのはちょっと子どもっぽいかなと思いつつも、ついつい笑みがこぼれてしまうのは仕方がないとすることにしておく。だって1年に1度の食べ物を投げてもいい日だから。
そんなことを考えながら眠りに入ろうと電気を消して布団に潜り込む。
うとうととしだした頃にピピッ…と日付の変わる音がして……カタン、という物音がした。その音に疑問を持ちながらも下りてしまった瞼をもう1度持ち上げるのは不可能なことで。女の子はそのまま意識を手放した。







pipipipipi…… 

かけていたアラームで目を覚ましベッドから起き上がると、そこは自分の部屋かと目を疑ってしまうくらいの惨状だった。机の上、引き出し、本棚、クローゼット…収納場所すべてから、何もかも外に出されていた。女の子は暫く呆然としてしまっていたが、ハッと意識を現実に戻して、とりあえず着替えて部屋を片付けることにした。




「一体、何があったんだろ……」


綺麗になった部屋を見渡しながら女の子はそんなことを思った。
片付けることを決めてからの行動は凄まじい早さだった。
まず、床に散らばっている服を全て唯一無事だったベッドの上に移動。その後、バラバラになっている本を本棚に戻し、机の上、引き出しとどんどん元の場所に戻し、尚且つ、ゴミと捨てることも忘れずに片付けを進めていく。最後に服を綺麗にクローゼットに納めて、掃除機をかけて。全てが終わるまでに30分も掛からなかった。
終わった頃に、丁度お腹もすいてきたので朝ごはんの用意を始める。ご飯は朝に炊きたてが食べられるようにセットしていたので、それを茶碗によそい、卵焼きを作って昨日の夕飯の残りの野菜のスープを温める。それを待っている間にご飯と卵焼きを机に持って行って、顔を洗い、髪を梳き、後ろで簡単に結んだ。キッチンに戻ってみるとスープがいい具合にコトコトと音を立てているので火を止めてお皿に入れ、机に向かう。



「……ぇ、」


そこで目にしたものに驚き、危うくお皿を落としかけた。
机の上には子猫くらいの小さな黄色い子どもが2人。1人はトラ柄のパンツを履いて、頭に1本角が生えており、もう1人はトラ柄のワンピースをきて頭に2本角をつけている。
2人は先に置いていた卵焼きを食べていた。


「あぁ、なんだ。子どもか…………って、角!?」


女の子はその状況を見て一瞬落ち着きを取り戻したが、やはりそういうわけにはいかなかった。
その声に2人は反応し、卵焼きを頬張り、う?っと言いながら女の子の方を見る。そして、そのままむぐむぐと食べきり、にこぉと笑った。


「かわッ……、じゃなくて!君たち誰!?ここ僕の部屋なんだけど。ってか、いつからいたの!?」


2人の笑顔の可愛さに一瞬心を奪われかけたが、いやいやと首を振り、捲くし立てるように質問をする。
2人は顔を見合わせた後、ぁい!と手を挙げて喋りだした。


「ぼくはレン!」
「あたしリン!」

「ぼくたち子鬼!」
「あたしたち子鬼!」

「いつから?」
「いつだっけ?」

「「えっと、長い針と短い針がいっしょになったころー!!」」


1本角の男の子がレンと名乗り、2本角の女の子がリンと名乗った。そして、喋る方が、ぁい!と、手を挙げ話し、一緒に首をかしげて、最終的には同時に叫んだ。その仕草に可愛いなぁ、と思いながら女の子は、夜の物音はこの子たちかと思った。


「おねえちゃんお名前はー?」
「お名前はー?」


2人に聞かれて女の子がそういえばそうだと思い、蒼(アオ)と名乗り。


「因みに男の子だ」


なんていう衝撃発言を繰り出した。




ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

子鬼と。

コラボの方で投稿されていた子鬼たちが可愛くって…w



続きます。

↓蒼君設定↓
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=24923535

閲覧数:185

投稿日:2012/02/05 10:13:41

文字数:1,614文字

カテゴリ:小説

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