昔々のお話です――
とある大陸で、国々が争いをしていました。
兵器を用い、民を、田畑を、資源を滅ぼし尽くした国々。
多くの傷痕を地や人々に残した戦も幾年の後に終結しました。
戦が終わり、それぞれの国の民は喜び歌を歌いました。
国を越え、心を繋ぎ皆が声をあわせて歌える時が来たのだと――
そうして、国々は喜びと平和への祈りを込めて歌を大切にしようと誓いました。
大陸に平和が訪れて幾百年の時が過ぎた頃、西の大国に新しい王が誕生しました。
美しい音色を地に響かせ、永久に幸いあれと民に願われた緑の女帝の誕生です。
心清く、国民の為に勤める女帝を皆は愛し慕いました。
平和な大陸の、活気溢れる西の大国。
女帝即位より一年の後、常に明るい笑顔と歌声が旅人を迎える、そんな西の国からある日を境にぱたりと歌声が聴こえなくなりました。
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