※警告という名の諸注意、やっちゃったよセルフパロ

・帯人×女性マスター(篠武)
・カイトは出てきません
・妄想による世界観、しかも本家よりダーク。
・オリキャラ満載(オリキャラは名前・設定ともにシャングリラと同じ・若干性格は変わっている場合もあり)
・帯人はアンドロイド・機械的な扱い、表現を含む
・女性マスターの一人称が『オレ』

※ここ大事※
 多分いないとは思いますが…万が一、本家シャングリラを少しでも気に入ってくださっている方がおりましたら、今すぐ全力で引き返してください!本家シャングリラとは一切関係ありません。悪いのは全面的に私ですorz

恐らくツッコミ処満載ですが、エンターテーメントとして軽く流して楽しんで頂けると幸いです

上記が許せる方は、自己責任で本編へどうぞ




☆☆☆☆☆☆☆




37.

SIED・KANA


私は少し後悔していた。


(これは…なんて危うい均衡なの、)


帯人を細かく調べて分かった事実。

通常、所謂アンドロイドの暴走行為を回避するための安全対策として、各感情値をうまくコントロールできるよう、ある一定の値を越えたら自動で制御がかかるよう設定しておくものだけど。


(そんなもの、一切されていない…!)

設定しようにも、そもそも搭載されていないのだから、土台無理な話…。
しかも、起動してここまで時間が経っていては…もう追加プログラムもできない。

(成長してシステムが複雑化してる、ここにまた新たなプログラム組みなおしたら…それこそ崩壊しかねない…、参ったわね、)

身体機能や歌唱システムを弄るのとはわけが違う、『心』に手を加えるのは、技術的にも禁忌の域に近い。
想像以上に、帯人は繊細で微妙なバランスの上、かろうじて存在しているのだと思い知った。

(本当にこんなものを、篠武さんに譲渡しても大丈夫なのかしら…、)

些細な何かが引き金になって、帯人が彼女に害をなしてしまったら…考えただけで背筋が凍る。

仕方ない、多少強引で乱暴だけど、別の角度から安全対策はさせてもらうしかない。

あとは、時間をかけて経験を積んで、彼の努力で自制心を養う。



(これだから不良品は…、)

私たちの常識が一切通用しない、思わぬところに大きな欠陥を抱えている。


それを補ってまで、稼働させ続ける理由は…。




「失礼します!所長、お話いいですか?」

「なぁに?北澤君、そんなに慌ててどうしたの?」

ノックもなしに、いきなり部屋に飛び込んでくるなんて。テンパっている証拠ね。

「あの、さっき篠ちゃんと電話してたんですが、…誘拐されたとか、言ってたんですけど…あの、どうしましょう?」

「…誘拐?」


あらあら、それは大変ねぇ。


でも今は、帯人の対処のほうが悩ましいのよ…。




38.

SIED・SINOBU


「ねー、花園さんさー。…どうして加奈さんを裏切ったの?」

全く持って、解せない。

一流の中の一流、給料も待遇も最高峰なのに、一体何の不満があったのか。
オレはビルの管理システムをハッキングしながら、傍らにいる女性に話しかけた。後ろ手に縛り上げてはいるけど、口は自由にしてあるから会話はできる。


「………、」

「黙秘、かー。まぁ、いいけど。……よし、出た出た、」

このビルの図面と、電気系統の回路システム。
にしても、セキュリティ甘いねー。油断しすぎだっての。



「あなた、ここから逃げられると、本気で思ってる?」

「……逃げる?」

漸く喋ったと思ったら、変なこと聞くんだな。

「別にそんな必要ないだろ…っと、完了!」

出てきた監視カメラの映像をちょっと細工して、オレは管理棟のドアを開け閉めしてみた。

うん、上手く繋がったな。

この建物に設置された電子開閉式のドアの鍵は、オレのスマホに全部連動させたから、もう外からも中からも誰も開けられない。

監視カメラの映像も、ほんの十分ほど録画したものをループするよう設定したから、今からオレは透明人間。

気付かれて通報されるまで、約十分ってところかな、…充分だ。



「んじゃ、早速お菓子回収―、」



ここの主は、オレの両親を殺した噂のある男…。

今度は加奈さんを苦しめて、…オレを祖父に売り渡そうとしている。



(一体、なんでバレたのかな…、オレが『有栖の息子』って。いや、実際は娘なんだけど、)

その辺も含め、欲しいものは根こそぎ持っていこう。

オレは今度こそ部屋を出て、主の元へと走って行った。




39.

SIED・MASATAKA


もっと驚いて取り乱すかと思ったのに、所長はかなり冷静だった。



しかも。



『はいこれ。多分ここにいると思うから、悪いけど北澤君…迎えに行ってくれないかしら、』

え、心当たりあるんですか!?迎えって、普通に!?
一体何が起こっているのか…動揺しながらも、渡された住所を受け取り、僕は急ぎ足で部屋を出る。

最後に一瞬振り返ると、ちょうど所長は何処かに電話を掛けるところだった。



(あ、そうだ。折角だから、帯人も連れて行こうかな、)

寝台の上で膝を抱え、身を震わせながら焦点の合わない目で爪を噛んでいた…。
あれは篠ちゃんが心配すぎて、情緒不安定に陥っているに違いない。
少しでも早く安心させないと、過度な負荷は精神回路の破損に繋がる。


(帯人に何かあったら、多分僕が篠ちゃんに怒られる、)

僕は自室に寄って車のキーを掴むと、帯人を拾うべくミーティングルームへ足を向けた。



続く

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

※亜種注意※Lost.Eden//叶わなかったシャングリラ【帯マス】第十四話

短い…。

閲覧数:55

投稿日:2016/10/02 01:31:54

文字数:2,330文字

カテゴリ:小説

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