「もう終わりにしよっか」
そう、電話越しで呟いた君の言葉で今まで積み重ねてきた思い出や日々が一瞬で儚く崩れ去ってしまったんだ。

今でも、あのころに戻れたらなって思っている自分は少しずるいかな。でもせめて、友達に戻れるならとそう願ってしまうんだ。
君が本当に僕を嫌いになったというなら、別にそうでいいんだ。
どうせ、うそつきの僕だから本当の気持ちなんて君に伝えられないんだけどね。

『天ノ弱』

電話越しに君の声が響く。
「元気にしてる?」
「うん。まあまあかな。」
物質的な距離は遠くても、心は寄り添い合っていて…。なんか自分で言うのも恥ずかしいや。
「でっ、そっちの天気はどう?こっちは暑くてたまんないや。」
「えっ、晴れてるよ。快晴!」なんてね。もう土砂降りで嫌になっちゃう。僕の心のなかみたいで。
「ふふふ。そっか、そっか。」
「なっ、なんで笑うんだよ!」
「だって、また嘘ついたでしょう。」
「べっ、別に~。」
「じゃあ、今日は何してるの?」
「えっ、とっ、友達と遊んで、ほんと楽しかったよ。」どうせ、暇なんだけどね。君がいないから。君がいなくて寂しいなんて、口が裂けても言えないよ。
「また、嘘ついたでしょ。どうせ、私がいなくて寂しいとか。」
「別に、寂しいなんて考えてないよ。」
また嘘をついた。本当はちょっとくらいは、違う。一杯、君のことを考えているんだ。
それを知ってか知らずか、君はまた電話越しに笑う。
そんな日々が続くと思っていた。
でもそんな日々は、君の一言で崩れ去ったんだ。

今でも思い出される、君との日々、そして君からもらったこのあふれるほどの愛をどこに捨てればいいのかな。でも僕にはそんなことできない。君からもらった、暖かいこの気持ちを捨てることを僕はできないんだ。

そんな中で、君の一言が頭をめぐってる。ああ、ぐちゃぐちゃになりそうだ。君の姿は見えないのに、君の言葉だけが見えちゃっているんだ。君の、僕への気持ちの変化に何がったのかは、知らないけど、でも「僕が知らない」というだけで、何か黒い感情がもやもやって湧いてくる。この心にぶら下がっている感情が君を思ってのものなのか、ただの嫉妬なのか。

君が本当に言いたかったことは、僕にはわからなくて、行くあてがないんだ。
君の言葉の裏の裏が見えるまで待つからさ。待つくらいいいでしょ。


「私、留学することに決めたの。」
「やっと、夢が叶うんだね。良かったよ。」
君は自分の夢に向かって進んでいって、僕はただ、思い出にすがりついて、止まっていて、だんだんと広がっていって、縮まらなくなった距離を何で埋めればよかったのかな。
本当はその答えを知っていて、君に気持ちを伝えられなかった僕はただの
「天性の弱虫さ」
この行き場のなくなった君へのあふれる愛をだれに譲ろうか。
そんな当てなんてわかってる。君もわかっているんだろ?
だからせめて、待たせて。
君言葉の真意がわかるまで。
僕が君に自分の気持ちが伝えられるまで。
僕は待つよ。

「もういいかい?」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

天ノ弱 とーっても、勝手に自己解釈。妄想の産物です。よかったらどうぞ。

天ノ弱を勝手に、妄想という名のエッセンスを使って、自己解釈して小説っぽくして見ました。
「先生~、ここにバカがいます。」
「よせ、チクるんじゃない!!」

では、ぜひ読んでいってくださいな。

閲覧数:1,508

投稿日:2012/06/23 14:02:13

文字数:1,271文字

カテゴリ:小説

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