涙を捕まえて集めては溜め込んで
海に還すって変な遊びを続けていた
「海が好き」と嘯いて何度も訪れて

涙はその辺のどこにでも落ちている
路地裏の片隅ビルの吹きだまり玄関の脇
ブランコの下やアパートの階段桜の根元

つまんでは抱きしめて
その切なさを受け入れる
誰のかはどうでも良くて
誰のためかも知らなくて


海は何も言わない眺めているだけで
最初の頃は「良い趣味じゃないね」とか
窘めるようにぼやいてたけれどね

涙が生まれた海かも知らないけど
どうせどこかで繋がっているなら
別に構わないただの優しい人ごっこ

波打ち際でうずくまり
雫がふわりと落ちていく
私の心はどうでもよくて
私のためではないわけで


ある時私の涙をこぼす日が来て
海に訪れたら「それは君のだ」って
丁寧に断られてこぼせなくなった

海沿いの街は風がとても強くて
涙目も潮風に吹かれて乾いてく
許されなかった自分の涙が迷子になる

テトラポッドの上に座り
髪がハラリとなびいてく
涙の気持ちは閉じ込められて
涙の想いは彷徨うだけで


風に乗ったカモメが肩に留まって呟いた
「この軽い羽が集まって空を飛べるなら
それより重たい君の涙で飛べるさ」

そんなの出鱈目だって鼻で笑うと
「君の言い訳よりは道理が通るさ」って
そうだねって呟いて二人で海を見てた

砂浜を歩いてぼんやり歩き
きれいな貝殻を拾ってみた
雫があふれてなみなみ満ちて
雫はこぼさず持ち帰った


空気の読めない風がひと吹き
涙を貝殻と一緒に放り投げた
そのまま海にポトンと落ちて
怒られそうで逃げるように帰った

涙を集めても空は飛べない
涙を集めても海は癒えない

そんなのもうわかってるよ
だからなんだって言うんだ


ごめんね

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

涙滴同盟

閲覧数:76

投稿日:2021/10/22 20:32:20

文字数:740文字

カテゴリ:歌詞

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