…寒い。とりあえず寒い。


一月の夜、屋根の上。寒いのは当たり前だ。

風が吹いていないだけいいかもしれない

家の中では私の誕生日を祝うために、グミちゃんを中心にいろいろ準備してるみたいだ

はっきり言って計画はバレバレだけど、そこがグミちゃんっぽいなと思う

まあそんなこと言ったらきっとあの子はヘコむだろうから気づいてないフリをしてあげているけど


…別に祝わなくてもいいのに。


この時期は私、ルカさん、カイトさんと誕生日が集中していて、準備も仕事も普段より忙しい

一人一人祝ってくれるのは嬉しいけれど、手間を考えると申し訳なくなる

特に私とルカさんは三日しか違わないから一緒にしてもいい気がする


「相変わらず星は綺麗だな…」


みんなでいるのもいいけど、やっぱり一人は落ち着く

騒々しい現代から切り離されたような空間

時の流れが急に緩く感じ、趣がある

私のV3音声ライブラリの名前に aria on the planet とついているからなのかはわからないけど、星や宇宙などには惹かれるものがある

興味というかは曖昧だけれど、自分という存在を再認識できる、そんな気がする

…そういえば夏に、みんなで星を観察したっけ

ミクちゃんやリンちゃんはすぐに飽きてしまったみたいだけど、あの時みたオリオン座はとても綺麗だった

今は空が何倍も高くて、月も小さいけど、まだオリオン座は光っている


携帯の画面を開く

[1/26 23:58]

眩しい画面に映し出された文字

そろそろ日付が変わる

明日は収録だ

自分の存在は、ちゃんとこの広い宇宙の中に、リズムを刻んでいるから

また明日も頑張ろうって思える


[1/27 00:01]


風邪をひくといけないし、そろそろ中に入るとしよう


「…誕生日、おめでとう」


そっと呟いた声は自分の中に溶けて消えていった

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【IA誕】この空の下で

書いてしまったので季節外れになる前にあげました。

最近2014年IA動画大賞で話題になっている emon さんの 星空のライオン という曲の自己解釈を混ぜています。

まあ、書いたのは結構前なんですが……


閲覧数:708

投稿日:2014/02/03 21:06:26

文字数:806文字

カテゴリ:小説

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