――何か、聴こえる。
微睡み(まどろみ)からゆっくりと私の意識は引っ張られた。

「ん……」

瞼を少しずつ開いた。目の前にはお父さんとお母さんの大きな顔があった。
その顔はもう涙でぐしゃぐしゃになっていた。
私が瞼を開いたの見て、更に目から涙を溢れさせた。
その姿に、私は間違ったことをしたのだとようやく気付かされた。

私は彼だけで成り立っている人間ではないこと。
私が馬鹿なことをすることでこんなにも悲しませてしまう人がいること。
そして、私が彼の分まで生きなければならないことを。

「ごめんなさい……、お父さん、お母さん。……ただいま」

「馬鹿……。……でも、帰ってきてくれて良かった。……おかえりなさい」
「おかえり。もうこんなことするなよ」

お母さんとお父さんは泣きながらも微笑んでそう言ってくれた。

私はそっと頷く。

「……大丈夫。もう絶対しない。……彼に強制送還させられちゃったから」

そう言うと2人は哀しそうに笑った。

「彼に感謝しなければな……。娘を救ってくれたんだから」

「……そうね」

お父さんの呟きに、お母さんが泣きながら、でも嬉しそうに返した。

「私が一番彼に感謝しなきゃね」

私は空を見た。
あの出会いの日のように青く澄み渡る空。
君の顔を思い描いてみた。

君を愛し続ける。
この気持ちはずっと変わらずにあるだけ。
もう君に自分から会いに行こうとはしないよ。
だから、愛しい気持ちだけ。
……それだけです。


さよなら。


テノヒラ/wowaka(現実逃避P)

恋をして。それは泡の様に 私の心から消え去っていきました。
青空が哀しく澄み渡り その向こう側ではお変わりないですか?

朝、昼、夜通し独り 涙拭いて そっと。
まだ、だよ!あの声、君とよく似た…

"会いたい。"
今、空に浮かべた声が 空気と混ざり合う
"君の手が、つかめますように。"
…そう、願うの。

旅を捨て雲へ向かう独り
私の行き先は何処にあるのでしょう
青空は優しく突き放す。
その向こう側には届かせまいとして。

ただ 見た 君の温度を 触れたとして
散った想いをどうして儚いと呼べるの?

どうか 今、手を振れず、過ぎる「今」
それを忘れないで。
君の手の平を想うだけの日常で、泣きたい。
今、空に浮かべた君を 空気に溶かしても
変わらない気持ちがあるだけ。
…それだけです。

さよなら。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

テノヒラ*4話*

ラストです。
この曲は本当に良い曲なので是非知らない方は聞いてみてください(´∀`*)

閲覧数:55

投稿日:2011/01/03 10:59:02

文字数:1,015文字

カテゴリ:小説

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