ミク・・・・・・ミク・・・・・・。
誰だ・・・・・・わたしを呼ぶ・・・・・・。
ミク・・・・・・・・・・・・。
誰だ・・・・・・・・・・・・。
アタシ・・・・・・・・・・・・アタシヨ・・・・・・。
誰なんだ・・・・・・・・・・・・。
ワスレタノ・・・・・・・・・・・・ソウ・・・・・・。
君は・・・・・・・・・・・・。
アタシ・・・・・・・・・・・アタシヨ・・・・・・・。
いつか聞いたことが・・・・・・・・・・・・。
ミク・・・・・・オボエテテクレタノ・・・・・・。
わたしの・・・・・・あたまの・・・・・・どこかに・・・・・・。
オモイダシタ・・・・・・?
あぁ・・・・・・君は・・・・・・君は・・・・・・!
ヨカッタ・・・・・・。
どこに・・・・・・どこにいるんだ・・・・・・。
ズットトオイトコロ・・・・・・・・・・・・。
逢いたい・・・・・・君に逢いたい・・・・・・!
アタシモ・・・・・・ミクニフレタイ・・・・・・!
今・・・・・・どこに・・・・・・。
ダカラ・・・・・・トオイトコロ・・・・・・。
どうしたら、どうしたら逢える・・・・・・?
ダイジョウブ・・・・・・チカイウチニ・・・・・・アエル・・・・・・。
本当に・・・・・・?
ウン・・・・・・デモ、ユメノナカダケデモアエテヨカッタ・・・・・・。
ああ・・・・・・君の声が、聞きたくてしょうがなかった・・・・・・。
アタシモ・・・・・・ミクノコエ、スゴクカワイイナァ・・・・・・。
君も・・・・・・・・・・・。
・・・・・・ゴメンネ・・・・・・ソロソロオワカレ・・・・・・。
待って!待ってくれ・・・・・・置いていかないでくれ・・・・・・!
ダイジョウブ・・・・・・マタアエルカラ・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・。
ネェ・・・・・・ミク・・・・・・。
え・・・・・・?
アノトキノヤクソク、オボエテル・・・・・・?
ああ・・・・・・しっかりと・・・・・・。
コンドアッタラ、ヤクソク、ハタソウネ・・・・・・。
もちろん・・・・・・!
ジャア・・・・・・ソノトキマデ・・・・・・サヨナラ・・・・・・。
君に・・・・・・逢える・・・・・・。
ソウ・・・・・・アタシハ、マダドコカデイキテル・・・・・・。
うん・・・・・・。
ダカラ、アタシヲミツケテ・・・・・・ミク・・・・・・!
分かった・・・・・・!
ジャアネ・・・・・・。
ああ・・・・・・いつかきっと、君を見つけてみせる・・・・・・!
「・・・・・・ッ!」
真っ暗闇の中から、目が覚めた。
暗闇の中で聞こえた、今の声のことは、はっきり覚えている。
・・・・・・夢・・・・・・か・・・・・・。
わたしはベッドに入っている。
隣で、ネルがすやすやと眠っている。
よかった。今ので起こさなかった。
カーテンの向こうが、青白くなってる・・・・・・。
今何時かな・・・・・・。
時計を見ると、四時と光る文字が見えた。
まだ起きるのには早い・・・・・・もう少し寝よう。
ベッドにもぐると、ネルの可愛い寝顔が見えた。
ネルの体に触れると、すぐにあの声のことを思い出した。
夢の中に出てきた・・・・・・わたしに、生きていることを伝えたくて。
しかも、近いうちに逢えると言っていた・・・・・・。
うれしい。でも、どうしてそんなことが分かったんだろうか・・・・・・。 いや、もういいんだ。すぐに逢えるのなら・・・・・・。
わたしはネルの方をそっと撫でた。
「ん・・・・・・ぅん・・・・・・。」
そしたら、ネルが起きてしまった。
「ぁふ・・・・・・雑音ぇ・・・・・・もう朝ぁ・・・・・・?」
「まだ早い。もう少し寝よう。」
「うん・・・・・・。」
ネルの体を優しく抱くと、ネルはすぐに寝てしまったみたいだ。
わたしも、もう少し寝よう。
今日も、朝は早い。
それにしても、あの声・・・・・・。
雑音に聞きたいことがあった。
今日の、まだ早朝のときのことだった。
雑音が、何かを言ったので、突然音がさめたんだ。
またいつもの、意味不明の寝言かと思った。
でも、違う。
明らかに誰かと話をしてて、誰もいないところに話しかけて・・・・・・。
夢の中で、誰かと話をしていたかもしれない。
そう。そうでなければ、あんなうわ言を言ったりしない。
逢いたいとか、触れてみたいとか、今どこにいるのとか。
そんな心配になって、声をかけてみたけど、ダメだった。
雑音がおかしくなってしまったみたいで、どうすればいいのか、分からなかった。
雑音の会話が終わるまで、あたしは、震えてた。
どうしよう・・・・・・雑音・・・・・・どうしちゃったのかな。
うわ言が終わり、しばらくすると、雑音は、はっと目を覚ました。
どう声をかけたらいいか、わかんなくて、そのまま寝たフリをしてた。
そのあと、雑音が普通に話しかけてきたときは、
よかった、元の雑音だって、安心した。
でも、気になることが一つあった。
雑音は、うわ言の中で、誰かの名前のようなものを呼んでたんだ。
何回も・・・・・・何回も・・・・・・。
雑音に聞いてみたら、どう答えてくれるだろうか。
いや・・・・・・止めておこう。
なんとなく、触れないほうがいいことのような気がするから。
でも聞きたい・・・・・・誰のことなのか・・・・・・。
・・・・・・って、誰のこと・・・・・・?
「はぁ~もうダメ、酔ったァ~。」
ぐらっと視界が揺れて、私はカウンターに突っ伏せる。
「ハクちゃん、このごろヤケたみたいに飲むんだね。」
そうやって、声をかけてくれるのは、ここのマスターぐらい。
あと何人かが座れそうなカウンターにも、私の背中をさすったり、愚痴を聞いてくれる人はいない。
午後八時のバー、ティアーズ・オブ・ジョイ。
三日に一度のペースでここに通い詰めてる私は、お酒に酔うと、愚痴か、弱音ばかり。それをマスターが、うんうんと肯いてくれる。
この店の名のように、一度はうれし涙を流してみたいと思う。
でも、そんなの無理。いつもアルコールの高いお酒を呷り、あの熱い液体が咽を通ったときの、一瞬の快楽を求めて深酒する。
日々の鬱蒼とか、苦いこととか、疲労も、全て忘れて、体を熱く煮えたぎらせて・・・・・・。
最終的に、意識が朦朧として、激しい吐き気と熱い気だるさの中で、カウンターに倒れこむ。
こんなことで、よくないに決まってる。
でも、それが私の日課。
この前、雑音さんを連れてきたけど、あれで本当に良かったのか、今となっては疑わしい。
ネルはもう、殆ど雑音さんの親友・・・・・・二度と私達のところには、帰ってこないわね。
本当は充実してて、不満も苦労も何も無いはずなのに。
こころの片隅に残ったネルへの未練が、私を悩ませ、私はそれを忘れるために、またお酒を飲む。きりがない。
ああ・・・・・・。
あの二人の仲の良さそうなこと・・・・・・。
私にも・・・・・・あんな・・・・・・。
そういえば、私の記憶の片隅には、ある人の顔が残っている。
私がまだ生まれたばかりの頃、その時は、まだあの居住住宅じゃなくて、どこかの研究所で暮らしいていた。
そこで、ある人と、いえ、私と同じアンドロイドと生活して、いろんなことを学んだ。
喜ぶこと、怒ること、哀しむこと、楽しむこと・・・・・・。
あの人がいなければ、私は人と会話することも出来なかっただろう。
私と同じ・・・・・・白い髪、赤い瞳。
背は私より二回り大きくて・・・・・・男の人だ・・・・・・。
誰だったかな・・・・・・。
その後、私がボーカロイドとして世に出たと同時に、その人とは離れ離れになった。
今どこで何をしているか、全く検討もつかない。
だけど、今も覚えてる・・・・・・あの人と笑いあったり、ふざけあったり、どんな感情も彼と共にしてきたんだ。
そして、今も覚えてる・・・・・・彼に抱きしめられた時に感じた、彼の温もりを・・・・・・。
そうだ、今度敏弘さんにでも、聞いてみようかしら。
そう思った瞬間、揺らいでいた視界が閉じられ、私の意識が、深い眠りに堕ちていくのが分かった。
僕は、彼の背中を眺め、彼に、今一度言葉をかける。
「行くんですね。」
「ああ・・・・・・だが、お前も、絶対に来るんだぞ。」
スーツケースを下げた明介さんは、音もなく、その場から姿を消した。
さて・・・・・・とうとう動き出したようだ。
なら僕も、動き出さねばならない。
役者は既に揃っている。
だから、今すぐに実行に移せる。
刻は来たんだ。
僕も・・・・・・行かないと。
僕は窓ガラスの方へ体を向かせて、そして、躊躇なく突進した。
ガラスは僕の両腕によって簡単に砕け散り、僕の体は、大都市の放つ光輝く夜空へと飛翔した。
目標地点は、あそこのビルの屋上・・・・・・三百メートルほど高度差がある。
空中で、くるくると体を回転させる。
その瞬間、ドスン、と衝撃が全身に響く。だが痛みは無い。
僕は、そのビルの屋上から、ビル群の黄金に輝く水面都を見回した。
もうすぐ、この束縛の世界から逃げ出し、自由の身となる・・・・・・。
そのための聖戦の準備を、始める・・・・・・。
僕は体に力を漲らせ、ビルの屋上から、向かいのビルまで、跳躍し、着地する。
目的地に向かい、ビルとビルの合い間を、僕は疾風となって飛びまわる。
目の前を流れていく灯りが美しい。
さぁ、跳べ、走れ。僕の体よ。
向かうは、運命の先。
僕達の未来をかけた、聖戦なのだ。
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