「カイ、ト…?」
「そうだ。‘過去を思い出した’君なら、今の僕に見覚えはあるだろう?」
「過去を思い出した…?」
ルカは首を傾げる。
「君は、ほとんど過去の記憶を忘れていただろう?
君がさっき見た映像は、その失われた過去の記憶だ」
「え…?」
「そう言えば、納得いくだろう?」
「そ、そうね…」
ルカはよくわかっていない頭を無理矢理納得させた。
「それで…あなたは何をしにきたんですか…?」
「君を『神の箱庭』に、連れ戻しに来た」
***
「『神の箱庭』だと…!?というか、何故君がそんなことを知って…」
僕は驚愕を顔に浮かべる。
「『神』という柵は、僕が破壊したはずじゃ…」
「『神』なんて、いくら破壊しても復活しますよ。新たな世代によって」
「え…?」
神が復活した?
ということは、あの魔具『神のスゴロク』も復活したというのか?
「で…その、新しい『神の箱庭』というのは…」
「あ、少し言い間違えていました…私は、箱庭にあなたを招待するわけではありません」
「へ?」
「『神の力を持っていた者』…すなわち『神であった者』を、連れ戻しに参ったのです」
僕の思考が、停止した。
***
「『神の歯車』…ですって…?」
「神に関係のない人間にはわからないわ。あなたは『神の関係者』ではない」
「さっき…から…なんな…の…?」
「所詮、一般人には説明しても無駄よ…死になさい」
グミは初音の首から右手を離し、サバイバルナイフを取り出した。
「まぁ少しくらいは教えてやってもいいかな…『神の歯車』について」
「うっ…」
「新たな箱庭への入り口は、この学校にある」
「え…」
「そして『神の力を持っていた人間』と『神の関係者』を『箱庭』に集め、世界を組み替える」
「組み替える…?あなた何を言って…」
「そして、『神に関係のない者』は、すべて排除するのよ。…っと、これ以上は教えられないわ」
「神…箱庭…」
恐怖に怯える初音の頭に、一つの映像が流れていた。
神の研究。
神の空間へ行き、神と戦い、世界の狭間に飛ばされる。
神威が神になり、初音が七つの大罪全てを犯したことを告げる。
神の柵が破壊される…
「!?」
初音は、すべてを思い出した。
僕と彼女の不思議な校内探検 10【リレー】
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