屋上の果てに立っている
人生に一寸疲れた少女が
その足一つ踏み外せば
その命はすぐに亡いものに
夕景はすでに迫っている
人生に一寸疲れた少女の
その背中確かに押して
揺らぎながら移ろいながら
カラスが鳴いた
少女は微笑んで
校舎下へと飛びこんだ
ああ無情な神様は
その手をつかまなかった
ふり返る群衆と
持ち構えた携帯が
ああ無情な人間様だ
それを証明していた
丁寧に縄を結んでいる
人生に一寸疲れた少年が
その縄を首に通せば
その命はすぐ亡いものに
椅子のその上に立っている
人生に一寸疲れた少年の
その震える体支えて
ぶら下がった少年は
藻掻いて、そして息を止めた
少年は目を閉じて
その縄へと飛びこんだ
ああ無情な神様は
その縄を切りはしなかった
ニュースキャスターの
大衆的な見解に
ああ無情な人生様だ
誰かの嘲笑う声
ナイフを向けた少女に
淡々と消えかける灯に
見て見ぬふりな人類様
終われば振り返る
馬鹿らしいな
ああまたひとつ落ちていった
ああまたひとつ突き刺さった
ああまたひとつ吊るされてった
命の数を数えている
また人生が終わる音がした
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