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…2055年、日本に初めて、国連支部が設立して12年…。東京に建てられた優美な国連支部の建物とは対照的に…西の都…ここ大阪城の地下に…秘密裏に造られた国連施設がある。地下に向かう長いエレベーターの扉が開くと…壁一面の世界地図のモニターが眼に飛び込んで来る。そこに蠢(うごめ)く、50の数を超える人々…。数え切れないモニター画面の中で…ある特定の建物を、様々な角度でドローンが映し出す。違う画面では…熱感知センサー映像で、建物の中に動く人物を確認出来るほど鮮明である。…建物の内部映像は…誰かの頭に着けたカメラからと思われるのが、複数見て取れる。…何かの作戦行動中なのか…それらの映像を食い入る様に見詰める、5~6名の張り詰めた緊張感が伝わって来る…。そこに、指揮官と思われる人物が3名現れる。…妙な事に、その内の2名が…髪型こそ違うが、双子か?と思うほどに顔がそっくりである…。その2人が話し出す…。「奴らは…配下者達にGPS付きの小型爆弾を装着させて、恐怖と共に絶対的な主導権を握って…作戦行動させるから迂闊(うかつ)に手が出せない!以前、そんな事を知らずに…捕獲後に人を、人間を、爆破させて来た時には…まさか、ここまで殺るとは…と驚きを隠せなかった…。人間がここまで卑劣になれるか?って…。人の命を恐怖で縛り付け、命を紙屑(かみくず)の様に、軽んじる奴らのやり方は絶対に許せん!」「おぅ!…許せん!…お前と全く同じ気持ちだ!信崇…。必ず、敵の本拠地を突き止めて…ぶっ潰す。…これ以上、好きな様にさせんわ!」このそっくりな2人の男達は…1人は尾谷信介(おだにしんすけ)、もう1人は沖田信崇(おきたのぶたか)。もう1人の3人目が口を開く。「2人とも相変わらず、熱いですな!この信繁もおります事をお忘れなき様に…。さてと…そろそろ実行中の作戦に集中しませんか…?」3人目のこの男は…真田信繁(さなだのぶしげ)『後に、幸村(ゆきむら)と名乗る戦国武将』…本人である。その信繁の言葉に…信介と信崇が相槌を打つ。「で…状況はどうなってる…?」信崇が信繁に問い返す。「…例の統合朝鮮国で起こった…南北紛争を再発させる為と疑われるサイバーテロが、日本から発信された物だと突き止めました。その発信源の建物を、部隊が包囲した所だが…爆弾が気懸りで手が出せない状況です。…が!…開発部の浅井博士のお力添えで、爆弾を起動電波の妨害装置が完成し、各部隊に装着済みです!尚…爆弾の取り外し可能となった事もお伝えせよ、と言付(ことづ)かっております!さぁ!いつでも突入出来ますぞ!」信繁が意気捲いて話していると…奥から浅井博士が顔を出す。「お待たせ致しました…。今回は、開発が遅くなり申し訳ありません。さすがに…人の命が掛かっていると思うと、慎重に成らざる負えない事態でしたので…。」「いやいや…。浅井君には…若い頃からお世話になりっぱなしで、申し訳ない。」信崇が深々と頭を下げる。「これで…心置きなく暴れられます。…聞こえてるか…部隊の連中達よ!思っい切り暴れてやれ!突入だ~っ!」信介が号令を掛ける…。

遡る事…32年前の2023年…夏。歴史を変える平和への戦いが…今、幕を開けようとしている…。

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  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

歴史を変える、平和への戦い

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投稿日:2024/03/17 15:50:54

文字数:1,349文字

カテゴリ:小説

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