キミはショパンが好き

卒業間際の恋愛模様を題材に創ってみました。

君はバッハが嫌い(先駆形の物語,フィクションです。)

私バッハは嫌いと彼女は言った
好きなのは，ショパンとかモーツアルト
だってバッハは，堅い感じなんだもの

僕は思う，どうして教科書には
若い頃のバッハの肖像を載せないんだろう。
もしバッハの肖像画が，もっと若くてイケメンだったら，
バッハの人気はもっと上がっただろうに

そりゃ偉大な作曲家さ。
でも欧米のロックンローラーは，
小さいときからみんな教会で，バッハを聴いて育っているんだぜ。
若い頃のバッハはそれは通俗的で，
でも年をとってからは理論家，職業作家

そして，動力を使った楽器が好きなんだ
パイプオルガンは，蒸気機関で動いていたんだぜ。
全然アコースティックじゃないよ，今なら，でかいアンプさ。

僕は，バッハは大好きだけど，
ショパンとかモーツアルトは嫌いではない。
きっと遠回しに，僕のことが嫌いだと，言いたかったんだろうけどね。
君も変わっているよ，内定は楽器屋さんだってね。
でも，専攻は地質学で，ピアノが得意。

君と僕の関係は？
研究室で，席が隣と言うだけ。
君にはボーイフレンドがいるし，
たぶん僕のあの女性は，いわゆる彼女。
でも，毎日夜遅くまで一緒に卒論書いて，
たまには寝袋に入って一緒に床に寝る。

でも確かに，キス以上の関係を
お互いに耐えているような気がする。
彼女は月に一度は荒れ狂って手が付けられなくなる。
僕はなだめるのが精一杯。
僕らはまだ十分に若いし，
やり直すことができるのはあたりまえ
でもなんだか踏み切れない。
そう，それは，君は，バッハが嫌いだから。