※レンリンCP要素あり(少なくとも作者はそのつもり)
※幼馴染設定

大丈夫な方のみどうぞ。



――例えばこんな幼馴染。1


 幼馴染ってのはなかなか厄介な関係だと、今更気付いた。


「――リン?どーしたんだよ、いつにも増してぶっさいくな顔して」
「うっさい」
 あたしの悩みの種、それは他ならぬ隣を歩くこの幼馴染の少年――鏡音レン、である。
 家は道を挟んだ正面で、小さい頃からよく一緒に遊んでいて、ちなみに名字も同じ“鏡音”で(この辺りでは他にも“初音”とか“巡音”とか、“音”のつく名字が多いのだ)、
 そして――いつからか、あたしはレンを男の子として意識するようになっていて。レンの方は、いつまでも変わらない幼馴染のままで。
「ねぇレン」
「あー?」
「彼女出来た?」
「はぁ!?何だよいきなり」
「なんとなく」
 なんて、嘘。本当は知りたいから。いや――知りたくなんて、ないけれど。
 そんなあたしの気持ちを知ってか知らずか――きっと知らないに決まってる――レンはちょっと拗ねたように「居ないし要らない」と短く答えた。
 レンは知ってるんだろうか。自分が実は結構女の子達に人気があるって。
 ちなみにそういう子達にとってあたしは目障りなことこの上ないらしく、ちょくちょく睨まれたり脅されたりするのだけれど、それは置いといて。
「そう言うお前は…って、居る訳ないか」
「なっ…失礼ね!その通りだけど!」
 ――だってアンタ以外の恋人なら要らない。
 言わなかったその続きが伝わることはなく、あたしの言葉はただの買い言葉として響く。
「…だって」
 それでも未練がましく、あたしは一部分だけを付け加えた。
「だって、好きな人、居るもん。その人じゃなきゃ、ヤダ」
 当の“好きな人”は、ぽかんとしたようにあたしを見ていた。
「…何よ」
「いや…、お前、好きな奴、居るんだ」
 一言一言確かめるように句切られたそれは、ひどく驚いているような、どこか気の抜けた声で。
「なんか…想像出来ねぇ」
「…どういう意味よ」
「なんつーか、リンが…遠くなった、みたいな」
 返す言葉が――詰まった。
 何よそれどういう意味で言ってんのねぇそんなこと言われたあたしは都合良く解釈して――期待、してもいいの。

 もし、どうせいつまでも変わらなくて、変える為には壊さなければならないのなら。
 いつ壊したって、同じかもしれない。

「――ねぇ、レン」
「…何だよ」
「キスしよっか」
 ――空気が、張り詰めた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

例えばこんな幼馴染。1(レンリン)

 続きます。
 詳しい後書き(という名の言い訳)は次で。

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投稿日:2009/08/03 17:42:17

文字数:1,052文字

カテゴリ:小説

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