西暦、2XXX年。ネットワークが発達した世界では、同時にサイバーテロやウィルスも爆発的に広がっていった。
 そうして、それに伴うように広がる誹謗、中傷の数々。ネットワーク内に置いて人権は尽く無視され、芸能人や政治家の多くが自殺に追い込まれる、という異常な事態へと発展した。
 この事態に自らの立場や政治制度を危惧した各国の政府機関は、皮肉なことにも協力し合い一つの世界条約を作り上げた。
 その名も〝NCT―――Network Creation Treaty〟。またの名を〝ネットワークにおける創作規定条約〟である。
 条約の締結は日本のアキハバラで行われた。インターネットシティと呼ばれるまでに成長したアキハバラでの締結の様子は世界中に配信され、この条約の存在は、世界に大きく知られることとなった。
 内容は以下のようになっている。

1.あらゆる政治機関は、人権、及び生命の尊重を目的としてインターネットにおける全ての場所に介入することができる。
2.明らかな悪意を持った誹謗、中傷により他者に精神的、及び肉体的苦痛を与えた者は、人種や他の条約に関係なく、すべての国が自国の法を持って裁くことができる。

 しかし、この条約はやがて政治関係者によって大きく歪められ、ついにはネットワークにおけるありとあらゆる創作が禁止されるようになった。この規制はオフラインでも適用されるようになり、後に思想の統制へと繋がるようになる。
 昔からあった法律や憲法と呼べるようなものたちは全て人知られず闇に葬られるか改訂され、政治離れが進んでいた当時の一般市民の知らぬ間に、全ては政治関係者の思うがままに纏められていった。

 こうして、世界はやがて人々から自己表現の自由を奪っていった。
 そして、さらに月日は流れる。


ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

コンピューター・レクイエム…1

小説初投稿です。因みに続きます。
条約とか適当に付けましたが、こんな感じで大丈夫なのだろうか…。
条約名、もっと良いものがありましたら教えて下さい。
一応近未来小説の部類に入るかと。

≪追記≫
書き忘れというか説明忘れがあったので修正。思いっきり筋が通って無かったですね…!
でもまだ色々と強引な気が…します…。

閲覧数:118

投稿日:2010/02/07 00:25:33

文字数:757文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました