1人の少女がいました。






そこは色のない世界で、少女以外に誰もいませんでした。

「ここはどこ?」
問いに答える声はありません。


もう自分が生きているのか死んでいるのかわからない。


もう立っているというより、浮いているような。




そんな場所でした。








ある日。少女は思いつきました。

「真っ白なら、私が色をつければいいのよ!」







その夜、少女ははじめて夜空を見ました。


「なんてキレイなの!」
少女は声を上げて喜びました。

「もっともっと色で溢れさせよう!」


その日から、少女は一生懸命色をつけて世界を作っていきました。

ある日は星を。またある日は草原を。




しかし何かが足りません。





「私だわ」



少女だけがこの満ち溢れた色の波に取り残されているようでした。




少女には少女の色だけがわからないのです。



そう思うと、また少女は生きているのかわからなくなってきました。





「…助けて」
少女の目から涙がこぼれました。

しかし今はその涙にすら色がありません。







「―――――………大丈夫?」


顔をあげると、そこには見知らぬ男の子がいました。



そっと差し出されたのは、赤い赤い林檎の実。

「何…これ…?」



「君に似合う色だと思ったから」




「だから、君にあげるよ」





それを受け取ったとき。




――――――――ふわっ



「…!手が!髪が!…これが私の色なの?」


「そう。君だけの色だよ」


少女は嬉しくて嬉しくて大粒の涙をこぼしました。



その涙は、それはそれは澄んだ水色をしていました。




2011.3.27

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

Qualia 妄想で書いてみた

ハチさんの曲Qualiaを自分の妄想で書きなぐりました。

初投稿なので色々おかしなところもあると思いますが、
そっと教えてやってください…。

閲覧数:117

投稿日:2011/03/27 18:31:47

文字数:746文字

カテゴリ:小説

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