滑り落ちた吐息は白く　憂いを帯びた横顔に
朽ちた指先が惑う　靄(もや)を振り払いながら
蒼い水晶(クリスタル)の輝き　脳裏に焼きついた記憶
果てた約束は何処へ　ひび割れた像みたいに

過去を思えばそれもふわり香りを漂わす
懐かしいと感じた鏡の破片
憎らしいと思った誰かの希み

舞(おど)る人形は何を思うのか
喜怒哀楽の感情か
朽ちた肢体の節々が砕けても
ぽたり零れたのは誰の涙だった？

深い迷い蒼く導く　憂いを帯びた横顔に
朽ちた指先は割れて　枯れた声も潰された
蒼い水晶(クリスタル)の輝き　何時(いつ)の日か見た光景が
蝕む闇を払って　諦めた笑みを浮かべ

現在(いま)を思えばこれもふわり心に染み込んで
懐かしいと感じた誰かの想い
憎らしいと思った欠片を砕き

絵空事とお思いになりますか
喜怒哀楽の感情か
果てた肢体の節々が砕けても
ぽたり零れたのは私の涙だった？



時は一刻と進んで逝く　頬を濡らした花弁(かべん)の雫
白い指先が彷徨い続け　歯車の壊れる音がした

絵空事と人形は嘲笑う
崩壊しきった感情
砕け散った心と身体のように
碧空(へきくう)の彼方で全てを奪って

遺されたのは指先
やがて砂となり消えて逝くのは
戒めるように縛りつけた記憶
ぽたり涙の雨が降り始めていた