【プロローグ】


もう五百年もの間、その国は戦乱を忘れていた。

長すぎる治世は平和で、緩慢で、やがて慢心を生む。平和を当然のものとして享受し続けてきた人々は争うことを忘れ、変化することを恐れ、努力することを放棄した。
腐敗した政治が横行し国の舵取りをするべき人間が権益を貪り始めると、必定、古今東西の国の盛衰をなぞるように国は緩やかに機能を失っていく。経済は停滞、政治は会議が踊るばかりで立ち行かなくなり、医療は行き届かず、物資は中央のごく一部のみに集約されるようになった。
傾き始めた国は自身の重みと重力に負けて加速度的に崩壊の一途を辿る。自分たちが拠って立つ土台が盤石ではないと人々が気付いた時にはもう遅かった。権力者たちは己が財産を守ることに精一杯で国民を守ろうとする者はおらず、市井の人々は最低限の衣食住も確保出来ず、明日の暮らしすらままならなくなった。略奪は日常となり、育てられなくなった子供は人買いに売られ、老人は冬を越せずその命を終える。そんな日々が続くようになった。

(このままではいけない)
その思いを胸に立ち上がった一団が居た。

『指をくわえて見ているだけでは役人共に金も命も喰らい尽くされるだけ。なら、俺たちの手で俺たちの国を変えよう』。
性別も出生地も年齢も様々だったが、燃え上がるような救国の意志を頼りに彼らは『革命』という御旗のもとに集う。
その名を、『帝国革命軍』。
炎の中に咲く一輪の百合の花を模した紋章を掲げ、彼らは日に日にその勢力を増していった。七年に及ぶ長い死闘の末、彼らは中央に巣喰う腐敗を打ち破った。飾りとしての機能しか維持されていなかった天子を再び玉座に据え、神国として栄えていた在りし日の姿を理想として、彼らは再び歴史の歯車を回し始める。
国は崩壊の危機を脱した。
しかし、後に『血塗られた七年』と評されたその内乱で数万人の命が奪われた。皮肉なことに、その多くが戦う術を持たない市井の人々だった。

この戦いはなんだったのか。
いったい正義はどちらにあったのか。
その答えを見つけかねたまま、歴史は無情にも時を刻んでいく―。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【カイメイ】スパーク発行小説【見本】

ご無沙汰してます!

10/7(日)に行われます
COMIC CITY SPARK7(内開催カイメイプチオンリー)
にて薄い本を出します!スペースは東5ホール と10a ですー。

《新刊情報》
『よあけうた-千本桜綺譚-』(92P・\500)すべて書き下ろし
『千本桜綺譚』(コピ本・\100)ウェブ再録&書き下ろし短編

ご存知、黒うささんの千本桜(http://www.nicovideo.jp/watch/sm15630734)と一斗まるさんの『お祝い&千本桜・設定書』(http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=22694826)からインスパイアされた小説です。ほぼカイメイしか出てきません。

表紙・挿絵はお友達兼大好きな絵師様柚子さん(http://piapro.jp/t/RCPv)に描いてもらいました!

お越しの際は是非!
ウェブ作品はこちら→(http://piapro.jp/t/tTun


通販が始まりました!http://www.toranoana.jp/mailorder/article/04/0030/07/63/040030076334.html
よろしければ…!!////

閲覧数:862

投稿日:2012/09/25 02:24:16

文字数:889文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

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  • くらびー

    くらびー

    ご意見・ご感想

    カイメイ楽しみにしてました! 本当にスバラシかったです…(*´▽`*)
    面白かったです! ありがとうございました。

    2012/09/29 19:40:53

    • キョン子

      キョン子

      >くらぴー様
      ありがとうございますううううう////
      無駄に長くなってしまいましたがお手に取って頂けたら幸いです!/////

      2012/10/02 11:38:18

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