もうもうもーう!走りっ放しで疲れた疲れた疲れた―――!!汗は掻くし髪だってグシャグシャだし、プレートは勝手に奪われてるし…!ナス君お間抜け過ぎ!期待してた昼ドラも見れないし…。
「もーう!」
「はいはい、イライラは良くないよ。」
「ジャックさんは花壇ちゃんに預けてるんでしょ?なら自分は安全圏じゃないのー!
ズルイズルイー。」
「それは判らないでしょ。食べる?」
差し出されたドーナツを取り敢えず頬張る。むむむっ!香ばしさの中に苺の甘酸っぱいシロップ…これは中々美味しいかも!じゃなくて!プレートよプレート!
「あ、良いもんみっけ。」
「苺?!」
「そうじゃなくて…ほら、そこでへたばってるお姉さん。」
指の指す方へ目を向けると、植え込みにへたり込んでる真っ赤な長い髪を発見した。
「鳳仙花お姉様!」
「彼女のプレートは『チェシャ猫』『門番ディー』『バタフライ』だね。」
「お姉様覚悟ぉおおおおおお!!!!」
「ダイレクトアタック?!」
「―――きゃあっ?!」
「ふふふふふ…決まったわ!これでプレートを取り返せば…!ってあれ?」
結構勢い付けて突っ込んだのに鳳仙花お姉様の姿が無かった…も、もしかして粉々に?!私犯罪者?!辺りを見ようとした瞬間、右手が何かにクイッと引っ張られた。
「させないよ…。」
「猫さん…!」
「あ―――!!もう!!何カッコ良く登場とかしてんのよ!!」
「鳳仙花様は俺の『Treasure』だから。」
「おやおや?姉弟対決?」
「…ジャックさん、すいませんが手を出さないで貰えますか?…ただの姉弟喧嘩
ですから。」
「OK、じゃ俺はお姉様と観覧してましょう。ささ、お手をどうぞ。」
王子様的な登場…そして姉弟の真剣勝負…!しかも今まで一度も私に勝った事無いサウが私に勝負を挑むなんて…!成長したんだね!お姉ちゃんは嬉しい!でもね…サウ…勝負は勝負…!
「先手必勝――!!」
「猫さん!」
「せいっ!」
すれ違い様に口に何かを押し込まれた。…この水気…そして口がピリピリするこの酸っぱさ…!
「イヤ――!!!みかん嫌い―――!!!」
「隙あり!!」
「わわわわぁっ?!」
足首にワイヤーが巻き付いたかと思うとそのまま思いっ切り前のめりに大転倒した。うぅ…痛い…。
「ぶはははははは!良いねぇ!猫君!わざわざ厨房にみかん取りに行ったのか?!」
「もーぅ!卑怯者ー!」
「猫さん…。」
「これに懲りたらもう彼女は狙わないでよ?」
「うー…判ったよぉ…ん?ジャックさん?後ろに居る黒い人の…ってぇええええ…!!」
そう言えばこの前クイズ番組でこんな問題があったっけ…『争っている内に第三者が利益を得る』って言う諺…何だっけ?ああ、そうだ…。
「『バタフライ』『チェシャ猫』『鳳仙花』『門番ディー』…ブレイク。」
「バタフライ、チェシャ猫、鳳仙花、ハートのジャック!感動の姉弟対決から一変
して一網打尽!これにより『バタフライ』『チェシャ猫』『鳳仙花』『門番ディー』がブレイク!
何たる非情の極み!イド様もビックリだ!狩ったのは…『Mad Hatter』!!」
確か…『漁夫の利』…。
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「別に?なーんか空気重かったからさ。」...DollsGame-22.菜の花-
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「はいはーい♪」
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安酉鵺
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流石にマントが熱く、重くなって来た。あの二人一体何時まで逃げるつもりなんだろう…?走り疲れてベンチで休んでいると、数人の子供がこちらを遠巻きに見つつ何やらコソコソ話してる。
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