おはようございます。今日もいい天気です。

「ねむこ、朝から突っ伏してるねぇ」
「しゅんみん、あかつく…」
 こんないいお天気なら、眠気だって頑張るんだ。
 だから人間が頑張ったところで、負けてしまうのも無理な話じゃない。
 
「今秋だからね」
 そのツッコミを待っていた…!

「しゅうみん」
「何? シュウマイ?」
 わたしの滑舌は、もう何も伝えることができないほど眠っていた。


――1限目 国語――
 チョークがカツカツと、小気味の良い音を立てて眠気を誘う。
 隣の席のヤマダくんも慣れたもので、わたしを起こすなどという愚行に走ることは無い。

「先生、隣のねむこさんにチョークを」
「OK,boy…そいやっ」
 ズビシ。いたい。

 なんということだろう。ついにヤマダくんが反旗を翻してしまった。
 わたしの安眠を妨げるサイドにつくなんて、なんて愚かなのだろう。
 チョークの粉を払う気力もない私の内側に、パワーが集まっていくのがわかる。

 そしてわたしは…パワーを

「すぴー……」

 スリープに。


――2限目 英語――
 黒のマーカーがキュッキュと鳴って、ホワイトボードにくにゃくにゃとした記号が踊りだす。
 先生の筆記体、汚い。

 これにはヤマダくんもお手上げなのか、先ほどからノートをとる気配が無い。
「この文に対して、適切な回答を出しなさい。制限時間は5分です」
 はっ。

「はじめ」

 その瞬間、わたしはガバッと起き上がってシャーペンを取った。
 この右手の最高筆記速度で、真っ白なノートの上に英文を打ち込む――!

「あと1分です」

 ふ、もう終わった。事は既に為されたのだよ。
 わたしがこの程度の問題でつまずくとお思いか、マイティーチャー。

「ねむこさん、時間ないよ。流石に起きないとマズいよ」

 夢でした。

――3限目 数学――
 配られたその紙には、昔から伝わっているのであろう『何かを表す文字』が並んでいる。
 一体、どう読むのだろう。

「配ったプリントの問題について、出来た者から職員室の箱に提出し、昼休みとなります」

 その言葉に、教室中が沸いた。

「静かに」

 そして一瞬で静まり返る。
 でも、誰もがその内側に秘めたはずだ……『とっとと終わらせて、自分こそが最速の昼休みゃー(昼休みを満喫する者。今自分で考えたけどなかなかセンスある)になる!!』と!


「では、はじめ」

 その『はじめ』が言い終わるやいなや、今度こそわたしの右手は疾風をまとってプリントを凌駕する!
 サラサラサラサラ! これはいける!!

 開始10分あたりで、問題についての質問などが締め切られ、先生は退室した。
 それを待っていたとばかりに、さっちゃんがヤマダくんと席を変える。

「ねむこ、どう?」
 ふ、愚問だな。友よ。
 そう、愚問だ。

「よゆう」
「ねむこ、チーズケーキを作る過程が描かれているように見えるのは気のせい?」
 きのせい。

 ぐすん。

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ねむこさんの教室・午前

スリーピン・キューティー(仮題)関連の読み物ですー!
ヤマダくんの名前はトシアキですー!

閲覧数:73

投稿日:2012/11/14 11:55:33

文字数:1,258文字

カテゴリ:小説

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