・・・
・・・・
・・・・・
何だかみんなの視線がわたしに集まってるような・・・ようなじゃない!!!集まってる!!!
ちら、隣の青峰君を見る。なんか口パクしてる・・・?
なになに・・・いんおくあうっえ?何じゃそりゃ?
ん?もしかして、沈黙を破って?
うーん、仕方ない。
すぅ、とわたしは息を吸うと、
「あのね、ルカは人間嘘発券機なの」
「初音さん、変換間違ってるわよ」
と、相変わらず指先を見たままの赤原先生。
おっと、失礼。
仕切り直し、っと。
「あのね、ルカは人間嘘発見機なの」
よし、言えたぜ。
「・・・初音さん、その能力を使えば、犯人は簡単に捕まるんじゃないかしら?」
と、グミちゃん。周りのみんなもうなずく。って、ルカ!あんたはうなずくんじゃない!!
「それがそう簡単にもいかないものなのよね、ルカ」
「ふんふん。ほご、ふぃらあいふぃとだふぉふぇふぃないんだほふぇ。・・・ごっくん。ふーー、ごちそうさま。ありがと、リンちゃん、レン君」
「巡音さん、何言ってるかさっぱりわからなかったわ。もう一度お願いできるかしら?煎餅は食べずに話してくれない?」
さすがのグミちゃんもあきれ顔だ・・・。
「あのね、さっきのあれはね、知らない人だと使えないんだよねって言ったんだよ」
「・・・何だか勿体無いわね」
「まあ、使わないし」
「でも、俺は知らない人に入るんじゃないのか。だったらさっきのは意味ないんじゃ?」
「神木君は前に自己紹介も聞いたし、ちょこちょこ図書室とか教室にいるの見るから、全然知らない人じゃないよ。わたしが普段から認識してるからね」
と、言ってルカはニコっと笑った。
「さて、さっきの話に出てきた斎藤君だけど・・・」
と、グミちゃんが口を開いた。
「なかなか彼の考えを変えるのは難しいようね」
「というか、その前に、こいつが(神木)無実だってことを客観的に証明しなきゃいけないよ、グミちゃん」
と、わたしは言った。
「あ、あのさ」
珍しく青峰君が発言したので、みんな青峰君をガン見する。
たくさんの他人からの視線に慣れてないのか、ちょっと顔を赤くした。
「その犯人は何でその、斎藤君の鞄をボロボロにしたのかな、って」
と、言って下を向いた。
ふむ、確かに。
「考えられる可能性としては、証拠隠滅かしらね。犯人が自分だとわかるようね証拠を消すため。でも、その目的であるなら、鞄をボロボロにするだけでは足りないわ。細かく切断した上にそれを燃やすなり、可燃ゴミに紛れ込ませたり、土に埋めたり、食べたり・・・」
グミちゃんは次々と自分の考えをみんなに広げていった。
て、最後のはおかしいでしょ!?
「犯人は、鞄をボロボロにしてしまったのではなく、鞄をボロボロにしなければならない理由があったのね」
そう言ってグミちゃんは口元に手を当てた。
「そうなると、犯人の目当ては斎藤君のコイン・・・?」
「でも、そんなん、ボロボロにすることないじゃん」
と、練り飴をねってるリンちゃん。
「まあ、鞄からぽんと抜いちゃえばいい話だもんな」
と、レン君。ちなみに彼が食べてるのは、ソース煎餅。
「だから、さっきグミちゃんが言ってた証拠隠滅じゃないの?」
わたしは軽く机の上に手を叩いて言った。
「うわっ!危ねえ。おい初音、ジュースの水筒こぼれるとこだっただろ」
レン君は恨みがましい目でわたしを見て言った。ひど。それじゃまるでわたしが馬鹿力みたいじゃない。
その時神木が、
「というか、たかが高校での盗難なら、そんな証拠とるまでの大騒ぎになるか?せいぜい被害届くらいなんじゃ・・・」
と、つぶやいた。
「それも一理あるわね。神木君にしては中々いい勘ね。なんとなく鞄のことがわかったかもしれないわ」
ニヤリと笑うグミちゃん。
「何がわかったの?グミちゃん」
と、わたしはグミちゃんの瞳を見て問いかけた。
グミちゃんは静かに言った。
「犯人は確実に鞄を処分して欲しいのよ。なぜなら、そこに自分が犯人であるという証拠があるからよ」
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