<Dear My Friends!第2期 第16話 アキバ製菓工場跡>

(ライブラリー・スター号 食堂兼会議室)

 イアが提供してくれた“髪の先5cmの素材”、ミズキ達が提供してくれた“たくさんのチョコ菓子”を使って、全員が入れる大きさの『一方通行型空間移動魔法陣』を、テルとアペンドは急ピッチで製作していた。

テル:よし、チョコ菓子の逆錬成、完了だ。アペンド、そっちはどうだ?
アペンド:うん、イアちゃんの髪の毛の逆錬成、完了よ。そっちと合わせましょう

 こうして、テルが常備している錬成文字筆記用塗料と、テルが作った“到着点素材である、チョコ菓子から逆錬成した素材”、“移動能力付加素材である、イアの髪の毛から逆錬成した素材”を混ぜ合わせ、“この魔方陣専用の錬成文字筆記用塗料”が完成したのだった。

ミズキ:それで書くんですか?
テル:そう、我々の魔方陣制作には、この塗料で錬成文字を書く事が不可欠なんです。錬成文字の“文章”は、前の事件の後始末でわかったモノをノートに書き写してあるから大丈夫です
アペンド:これから書くから、ちょっと待っていてください
りおん:わかったのだ

 こうして、数分間、テルとアペンドは、椅子や机などをどかして平坦になっている部屋の床に、なにやら他の面々では理解不能の“文字”を円形に書いていき、最後に、円の中に数種の線を書き足し、魔方陣のベースを完成させたのだった。

テル:ふぅ、ベースは完成した
アペンド:これから呪文を唱えることで“魔方陣の発動”を行うことになるわ。全員、言っておいたように、荷物と持てるだけの武器は用意したわね?

イア:はい、私は荷物と、アペンドさんが事前に作っておいた“魔弾銃”と、サバイバルナイフにしました
レン:俺は、手荷物と、ブロードソードと、ショートソード、それと発光弾にしたよ
リン:私は、鞄と、いつもの杖と、魔法素材と、ナイフにしました。銃は使えないので…
学歩:拙者は、巾着袋、愛刀、脇差し、手入れ道具、それと、忍術系の忍具も少し、そんなところでござるな
めぐみ:私は、手荷物と、調査用器具、強化型ハンドガンと、ショートナイフです

 それに引き替え、ミズキ達3人は、いつもの荷物に、ミズキとゆうまが、アペンド達が用意した“ハンドガン”を追加した程度、りおんに至っては、ハンドガンすらなく、荷物以外には、いつもの杖を持っているだけでした。

テル:あの、りおん? そんな装備で大丈夫か?
りおん:大丈夫だ、問題ないのだ

 さて、みんなの装備確認が終わったところで、最後に物々しい格好で、廊下からズルズルと入ってきたのが、“ルカ姫”、でした。

 両肩に銃剣二丁、両腰にハンドガン二丁、太ももにサバイバルナイフ二挺、足に発光弾2つ、更に背中のランドセルにバズーカ2本を装備していたのでした。

ルカ姫:ど、ど、ど、ど、どう、こ、こ、これで! も、もう、ぼ、“冒険”じゃなくて、せ、“戦争”、な、なんだもんね! こ、これぐらいの装備、あ、当たり前、よ、よn

他の全員:・・・・・・・・・・

テル:・・・・ルカ姫、気持ちはわかるが、それでは重量オーバーで動けなくて、相手の格好の的だ
アペンド:最低限のものでいいから。それと、そのバズーカはやめなさい

ルカ姫:えー、せっかく倉庫から抱えてきたのに…
アペンド:イアと同じ“魔弾銃”あげるから、せめて動ける範囲のモノに絞ってね
ルカ姫:はーい…

 ゴトンゴトン!

 ルカ姫は装備していた武器をほぼ全部床に置き、ミズキ達やアペンドと相談しながら、最低限のモノをチョイスし、装備し直しました。

 再装備したのは、手荷物、魔弾銃、サバイバルナイフ、発光弾だけでした。

***

テル:よし。準備完了だな。あ、そうそう、私とアペンドは、弾丸と簡単な武器だったら、向こうに転がっているジャンクから錬成できるので、弾数はあんまり気にせず戦って欲しい。魔弾銃は向こうの環境からエネルギーを取り込むので、同じく気にせず撃ってOKだ。ただ、回復魔法用素材や、治療用素材は無理なので、向こうで調達するにせよ、これだけは大切に使って欲しい

アペンド:それじゃ、魔方陣を発動させるね、いくよ、テル?
テル:よし、全員、魔方陣の中に!

 パーティ全員が、魔方陣の中に入ると、魔方陣の外にいる、テルとアペンドは、発動用の呪文を唱えたのでした。

テル:マギオ、ムーバル、ワルド・・・・
アペンド:フルオル シップ・・・・・
テル:トゥ ヤマト アキバ!

 すると、魔方陣の錬成文字が回転しだし、魔方陣全体が大量の光の粒子であふれ出して、まばゆく輝きだし、中の全員を包みだした。

イア:す、凄い・・・・

 すると、テルとアペンドも荷物を持って、魔方陣の中に入っていった。

テル:船長さん、我々は向こうへ一方通行で行ってきます。その後の片付けと、サホロへの到着、宜しくお願いします
ウォルフガング:了解した。必ずサホロでまた会おう!
アペンド:はい!

 ギューーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!

 その台詞が終わった後、全員の姿が徐々に薄くなっていき、そして全員は消えてしまったのでした。更にテルの言っていたとおり、魔方陣の跡は全くなくなり、かなり散らかった状態の部屋だけが残ったのでした。

ウォルフガング:船員! ここを片付けた後、航路チェックする! サホロへの航行、無事にやり遂げるぞ!
船員達:はいっ!

 こうして、遂に舞台は、“ヤマト国”、に移動することになるのだった。

 そこは、地獄の一丁目…

***

(ヤマト国 オーエド地区 アサクサバヤシ アキバ製菓工場跡)

 ここは、経済特区だった場所“オーエド地区”にある、アキバに隣接する区画“アサクサバヤシ”。その外れにある、元、『漆黒の雷・チョコスナック』を作っていた会社、“アキバ製菓”の工場があった跡。今では、派遣されたテイマー1名の操る2足歩行型ギアの『量産陸戦型ギア・インストール』と、両腕付属の戦車型ギアである『重武装ギア・ダウンロード』、だけによって、ミゥ達の兵力が今にも全滅されそうになっていたのだった。

 そこは経済特区とか、ニホンだったはずの所とか、シタマチとか、そんなレベルではなかった。まさに、最前線だったのだ。

 ガガガガガガガガガ!!!!!

 インストールはミゥ兵や、ミゥ兵の操る搭乗型ギアに向かって、容赦なく胸部機関銃を連射していたのだった。

量産陸戦型ギア・インストール(以下、インストール):テキヘイ、クチクリツ、80%。コウドウ、ゾッコウシマス

 ドドドドドドドドド!!!!!

 ダウンロードは、火力に物を言わして、気が狂ったような砲撃を、ミゥ兵のギアに向かって行っていたのだった。

重武装ギア・ダウンロード(以下、ダウンロード):ヘイヘイヘイ! 行くぜ、行っちゃうぜ! 死ねや死ねや死ねや!!!!

 そんな凄惨な光景を、アキバ製菓工場跡の建物屋上から、肉眼で眺めている人物がいた。インストールとダウンロードを操る、ここに派遣されたテイマー、『ルォ』、だった。

ルォ:ったくよぉ、しけた場所に派遣されたもんだぜ。こんな駄菓子の工場跡での駆逐仕事とはなぁ。さっさと全員ぶっ殺して、帰って麻婆豆腐食べたいぜ、ったく…

 そんな状況のまさにど真ん中に、突然、光の渦と魔方陣が現れたのだった!

 ギューーーーーーーーーーーン!!!!!

ルォ:んぁ? なんだありゃ? ミゥの連中の新型兵器か?

 光の渦が収束し、魔方陣が消え、動きが収まった後に現れたのは、あの『11名』だった。まさに、いきなり最前線に放り込まれたのだった。

イア:こ・・・・これが・・・・ニホンの未来・・・・・・なの・・・・
テル:・・・・・・どうやら、予想通り、『最前線』に放り込まれたようだな
アペンド:しかし・・・ひどい光景ね・・・・
レン:周囲、全部、破壊された、でっかい傀儡と、傷だらけの兵隊達・・・
リン:すぐに回復行動に移ります。マジックバリアー展開!
めぐみ:私とミズキ達は、安全なところに移動して、ミゥさん側の兵士とコンタクトを取ります!
ミズキ達3人:はい!

 学歩はすでに愛刀の柄に手をかけて、居合い切りの準備をしていたのでした。

学歩:さーて、久々、腕が鳴るでござる!

 そんな様子を処理しきれずに、“インストール”と“ダウンロード”は行動が止まってしまっていたのでした。危険を察知して、防御行動に移ったとも言えますが。

 同時にルォも、ある意味呆然として眺めていましたが、その後、すぐに大型拡声器を使って、突然現れたテル達に向かって、文句を言ってきたのでした。

ルォ:っくぉるぁ! おまえら! なんだかわからねーが、ミゥ側の新戦力ってなら、ぶっ倒すぞ、んごるぁ!

 そんなルォに向かって、ルカ姫も、大声で応戦したのでした。

ルカ姫:うるせー! メカマニア!!!! こっちこそ、おまえなんか、クチャクチャのグチャグチャにしてやるわ!!!!!
ルォ:ぬ・・・・・ぬわんだとぉ!!!!!!! おぃ! インストール!! ダウンロード!! ぼさっとしてないで、ミゥ兵とギアはいいから、あのバカ共を消してこい!!!!!!!

インストール:・・・・・システムカイフク リョウカイデス テイマーサマ ターゲットヘンコウ ネクスト ジュウイチメイ シュゾク オソラクニンゲン
ダウンロード:ウォウ! 野郎共はどうでもいいが、コレマタ、ナオン方は上物ですなぁ~。殺しガイがあるってもんだぁ~な!!!!

イア:・・・な、なんか、あの戦車の方、怖いんですけど・・・・・
アペンド:私もちょっと寒気が…
リン:私、生理的に、あーゆーのは…
めぐみ:私、パス
ミズキ:私もパス
りおん:むかっ! 正義の鉄拳を食らわすのだ!!!!

 どうやら、ターゲットの関係から、男性陣が、対インストール戦、(一部除くが)女性陣が、対ダウンロード戦になってしまったようです…。

 はてさて、ヤマト国、初戦、どうなることやら・・・・・・・・

(続く)

CAST

イア:IA-ARIA ON THE PLANETES-
ルカ姫:巡音ルカ
魔導師アペンド:初音ミクAppend
魔導師テル:氷山キヨテル
僧侶リン:鏡音リン
勇者レン:鏡音レン

異国の剣士 神威学歩:神威がくぽ
裁判官 勇気めぐみ:GUMI

ヤマト国からの旅人三人組
瑞樹(ミズキ):VY1
勇馬(ゆうま):VY2
兎眠りおん(りおん):兎眠りおん

ミゥ:Mew

ルォ:某中華ボカロ

その他:エキストラの皆さん

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

Dear My Friends!第2期 第16話 アキバ製菓工場跡

☆家の事情で、かなりに期間、続きを投稿できずに、申し訳ありませんでした。まだ事態は終わってないのですが、とりあえず簡単に続きを書いて、投稿しました。私もかなり忘れていたので、前の物を読み返して、続きを書きました。

☆オリジナル作品第16弾である、「Dear My Friends!第2期」の第16話です。

☆今回から、“ヤマト国編”です。如何せん、戦場なので、戦闘シーンが多めになります。

☆さて、変なテイマー“ルォ”と、操る普通のギア“インストール”と、狂ったギア“ダウンロード”戦。これからが本番です!

☆できる限り時間を作って、続きを書いていこうと思います。ただ1話短めになります。すみませんです。

***

私がここに投稿したボカロ小説のシリーズ目次の第1回目です。第1作目の“きのこ研究所”~第8作目の“部室棟”+番外編1作目です。
作品目次(2009/12/25時点):http://piapro.jp/t/5Qsh

同じく、目次の第2回目です。第9作目“鏡音伝”~第15作目“ルカの受難”の途中までです。
作品目次(2010年1月6日~2012年2月7日):http://piapro.jp/t/9GY1

更に、完結した『Dear My Friends! ルカの受難』のみの目次も作りました。
作品目次(Dear My Friends! ルカの受難):http://piapro.jp/t/qj6A

閲覧数:275

投稿日:2013/03/29 18:30:25

文字数:4,411文字

カテゴリ:小説

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  • オレアリア

    オレアリア

    ご意見・ご感想

    enarinさん、今日は!
    2ヵ月ぶりの更新、待っていました!

    今回でいよいよヤマト国への殴り込み、予想通り戦場のド真ん中に放り出されてしまいましたね。しかも最前線。アペンドたち、よく撃ち合いの流れ弾に当たらなかったことで…

    しかもギアたちを操るのは、例の中華ボカロのルォ!
    しかし、少々気が荒くて変なやつ。なるほど、テイマーたちの性格も変わり種の人が多そうですね。後々もっと¨厄介なやつ¨が出てくるのでは?と思うとワクワクしますw

    しかしフル装備のルカさんを想像すると、何故かトームレイダーが、インストールやダウンロードのような量産型ギアを想像すると、某潜入ゲームの二足歩行型無人機の光とかが浮かんでしまうんですが、きっと気のせいで(ry

    それにしてもギアのような存在は、今や架空の兵器にはなっていないようですね。二足歩行まではいかくても、現代の戦争では必ず無人機が出張っているとか。いつか近未来で、足を備えた戦車も登場するかもしれませんね。
    でも、ダウンロードみたいな狂った兵器がいたらとても怖いですw

    かつては首都として平和に栄えた場所も、今や戦火に包まれた地獄の修羅場。もう後戻りは出来ない、しかも目の前には謎のテイマーと強力なギア2体。テルを筆頭に、一行たちは如何にして戦うか。次回も本当に楽しみです!

    家の事情、とても大変そうですね。それにまだ終わっていないそうで…お身体の方も、お気をつけて!

    2013/03/30 12:13:25

    • enarin

      enarin

      オセロット様、こんにちは! お返事、めっちゃ遅れて申し訳ありませんでした!

      > 待っていました!

      本当にすみませんでした。この二ヶ月、そして最低向こう一ヶ月、色々家のことで忙しいので、投稿はやはり遅くなりますが、頑張って続きを書こうと思います! 実はちゃんとこの続きは、頭の中ではできあがっているのですよ。ふふふ。

      > よく撃ち合いの流れ弾に当たらなかったことで…

      あ、これは、リンのマジックバリアーで弾丸がそれてくれたからです(いわゆる、MGSシリーズのフォーチューンの能力のような物です)。それに、ギア2体は危険を察知して動きを止めており、ミゥ側も同様に撃つのをやめたからですね。これは書いた方が良かったですね。

      > 例の中華ボカロのルォ!

      ちゃんとボカロのフルネームもある、市販のボカロなんですが、如何せん中華ボカロということで、ここでの使用が許可されていないので、ぼかしました。これ以降出てくる中華ボカロも同様の扱いをしますね。

      > 後々もっと¨厄介なやつ¨が出てくるのでは?と思うとワクワクしますw

      はい。ルォは所詮、小物のテイマーなので、こんな辺境の戦場に飛ばされているわけですが、テイマーは他にもたくさんいますのでお楽しみに!

      > フル装備のルカさん

      実は描写を書いた時のモデルがいます。ガ○ダムのOVA作品登場の敵MS”ケ○プファー”です。

      > 足を備えた戦車も登場するかもしれませんね

      N○Kの特番で見た上で言うと、その2足歩行ロボットすら開発されて試作段階です。理由は兵器ではなく原発事故用途です。

      > 狂った兵器

      あれは私の暴走です。モデルはお喋り以外は、ロ○コップ2のあのヤク中毒の敵ロボットです。

      > 一行たちは如何にして戦うか

      大きく分けると、魔法&刀vs機械兵器ですね。果たしてどうするのか? お楽しみに♪

      > お身体の方も、お気をつけて!

      お気遣い、本当にありがとうございます! 詳細はtwitterで書いたとおりです。まだまだ大変ですが頑張ります!

      このたびのご閲読、コメント、有り難うございます!

      2013/04/06 15:54:02

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