※警告という名の諸注意、やっちゃったよセルフパロ

・帯人×女性マスター(篠武)
・カイトは出てきません
・妄想による世界観、しかも本家よりダーク。
・オリキャラ満載(オリキャラは名前・設定ともにシャングリラと同じ・若干性格は変わっている場合もあり)
・帯人はアンドロイド・機械的な扱い、表現を含む
・女性マスターの一人称が『オレ』

※ここ大事※
 多分いないとは思いますが…万が一、本家シャングリラを少しでも気に入ってくださっている方がおりましたら、今すぐ全力で引き返してください!本家シャングリラとは一切関係ありません。悪いのは全面的に私ですorz

恐らくツッコミ処満載ですが、エンターテーメントとして軽く流して楽しんで頂けると幸いです

上記が許せる方は、自己責任で本編へどうぞ




☆☆☆☆☆☆☆



40.

SIED・TAITO


篠武、篠武、何処にいるの?

なんでここにいないの?どうして傍にいてくれないの?


『誘拐?誘拐されたの!?』


…そうだ、誰かに攫われたんだ。

今何処にいて、何をしているんだろう。誰が傍にいて、…一体何をされているんだろう。
暗くて冷たい部屋に、監禁されているのかな。手も足も拘束されて、不自由な思いしているのかな。
傷付けられて痛がっていたり、食事を与えられなくてお腹が空いていたり。
辛くて、苦しくて、悲しい思いをしていたらどうしよう。

あの優しくて可愛い笑顔が。

誰かに、穢されでもしていたら…。

ぼく以外の誰かが、彼女の髪に、頬に、首に、指先に、身体に触れでもしたら。


(ああ、…気が、狂いそう、)


考えられない、考えたくない。
そんな奴らは、絶対に許さない。
ぼくの篠武に害なすものは、全部排除してやる。
どんな手を使っても、どんなことをしても、必ず全員殺す。

(ダメだ、足りない…、)

いっそ殺してくれと懇願してくるまで、徹底的に痛めつけてからじゃないと。



(篠武、もう少し…、あともう少しで、迎えに行くからね、)


そうしたら。


大丈夫、もう二度と危ない目に合わせないように、ぼくが護るから。髪の毛一本から、つま先の爪一枚まで、大事に、大切にしてあげる。いつもぼくの目の届くところに置いて、誰にも触れさせないで…。


(絶対に離さないから、)



ずっと二人で、一緒にいよう、ね。




41.

SIED・SINOBU


「だから、世界中の誰よりも、加奈さんだけは敵に回しちゃいけないって言ったんだよねー、」

加奈さん特製のスマホを主の隠し部屋から見つけたPCに繋ぎ、搭載されたツールで網の目状に張り巡らされたプロテクトを、一つずつ壊していく。

「出た出た、…おお、これだな、」

花園さんの持ち出した『VOCALOID・KAITO』の全ての資料と、オレの詳細なデータが、完全に独立したこのPCに厳重に保管されていた。ハッキングや流出を防ぐ為か、よくもまあこの膨大な量の情報を収めておけたもんだ…。

(あ、写真まで…これ、盗撮じゃね?)

しかも、オレいつの間にかDNA解析もされてるし。

もうこのデータ、じーちゃんに送っちゃったのかな…。

一抹の不安は拭えないけど、とりあえず加奈さんに全部転送して、このPCは空っぽにしとこう。


一通り仕事(?)を終えて、オレは一度監禁されていたVIP部屋に戻り、転がしておいた花園さんを回収した。

「あんたには一緒に来てもらう、」

可愛い女の子に手荒な真似はしたくないけど、彼女の腕を取り無理やり立たせて歩かせる。

「…どうして、」

「ん、何?」

「どうしてあなたみたいな女が、…主任と…、」

「………、」

絞り出された小さな呟き。


彼女が『主任』と呼ぶ人物は、一人だけ。


(あー…、今のでなんとなくわかっちゃったかも、)

でもまずは、ここから出るのが先決ってことで。

エレベーターでエントランスまで降りると、しんと静まり返ったホールに出る。
おかしいな…、まだ通報されてないのか?
時計を見れば、まだ20時前…この建物にだって人が残っているはず。

(この本社に異常があれば、支社から応援が来てもいいはずなんだけどなー、)

そして、肝心の主は何処行った。

首を傾げながら外に出て、まー君に迎えをお願いすべく電話しようとした瞬間。




「篠武ッ!!!!!」


「おふぅッ!!!???」

背中から物凄い衝撃を受けて、前のめりにすっ転んだ。


…痛ってぇ、一瞬死んだかと思ったわ。

いや、マジで。




42.

SIED・TAITO


篠武だ!!

間違いない、ぼくの篠武だ!!!!

男の車が止まるか止まらないかでドアを開け、ちょうどビルから出てきた彼女の元へと走る。



「篠武ッ!!!!!」

「おふぅ!!!???」

よかった、よかった、無事だった!

「し、心配、した!…逢いた、かった…、」

柔らかくて温かい身体を抱き締めて、その胸の奥から刻まれる鼓動に耳を押し付ける。
その規則正しく聞こえる音と、そこはかとする彼女の甘い香りに心底安心した。


もう絶対離さない、二度と離れない。



「ちょ…苦し、…どい、て…、」

「…篠武?」

ぼくの下から聞こえる、潰れたカエルの様なうめき声…。

あっ。

「ご、ごめん…、嬉しくて、つい、」

「げふ、げふ……はぁ、」

慌てて半身を起こすと、続いて彼女が少しせき込みながら起き上がる。喜びのあまり飛びついて、そのまま倒してしまったんだった…。

「ったく、ちょっとは加減しろって、」

「…あ、」

苦笑いする彼女の頬に、擦ったような傷があり、血が滲んでいる。やっぱり…酷い目にあってたんだ…。

「落ち着け帯人、今転んだ時に擦ったんだよ、」

え…、そうなの?じゃ、…その頬は、ぼくのせい?

「ご、めんなさい…、ごめんなさい、」

「あーもー、大丈夫だから泣くなよー。…ちょっと情緒不安定だな、多分オレが心配かけたせいか、…ごめん、」

小さな謝罪の声に顔を上げると、篠武の琥珀の瞳と目が合った。
そのままよしよしと、優しくぼくの頭を撫でてくれる。
嬉しくて、でも少しくすぐったくで、視線をずらした先…彼女の頬を彩る、赤い色。

(生傷が痛々しいのに…何だか、綺麗、)

ぼくはその色に惹かれて篠武の頬に唇を寄せると、擦り傷をゆっくり舐め上げる。

(…あれ、甘い…?)

口に広がる鉄錆の奥に、微かな甘露。

「イテテテ…、ダメだって、やめろ、」

「ん、…もうちょっと、」

剝き出しの神経に舌が触れて、痛みに顔を背けようとする彼女の後頭部に手を差し入れて固定し、角度を変えて何度も舐めた。

(篠武の血、…こんな味がするんだ、)

彼女の命を体内に取り込むたびに、何とも言えないゆるく痺れる感覚が神経回路を駆け巡っていく。これ、癖になりそう。

「帯人、…いい加減に…、」

「…篠武、可愛い、」

痛みを耐えているのか…もしかして、ぼくと同じ感覚を味わっているのかも知れない。寄せられた眉根が、涙に潤む瞳が、食いしばる唇から漏れる吐息が。
ぼくを、煽っていく。




「…あのさ、いつまでも路上に座り込んでないで。時間もないことだし、そろそろ次に行きたいんだけど、」

車から降りてきた男が、後ろでなんか溜息をついていたけど、ぼくは堪りかねた篠武にチョップされるまで、彼女の頬を賞味していた。


続く。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

※亜種注意※Lost.Eden//叶わなかったシャングリラ【帯マス】第十五話

一体何処までがヤンデレのデッドラインだかよくわからないorz
これでも一応、少し自重しました…。

閲覧数:117

投稿日:2016/10/16 02:25:17

文字数:3,101文字

カテゴリ:小説

クリップボードにコピーしました