国道沿いに対峙する僕達の閉じた未来。
息を弾ませながら、屋上階まで駆け上がる。
扉を開き、真っ直ぐフェンスまで歩く。
その途中で缶コーラが目に映った。
ポイ捨てする奴なんて、この世界にはたくさんいるんだ。
そういう奴は良心は痛まないのだろう。
道徳なんて死んじまえ。
そう呟いて缶コーラを思い切り蹴り飛ばした。
青春なんてこんなもの。
あぁ、このセリフ何度目だ。
フェンスを飛び越え、下を見る。
息を吸い込み、目を瞑る。
地面を蹴り上げ、空中に身を躍らせた。












生き急いでいた姉は昨日郊外の倉庫で歪な顔してビニールテープを首に巻いた。
僕はそれを指差して笑っていた。
「助けてくれ」そう思っていたのかもしれない。
でも僕は笑った。
彼女は濁った目で僕を見返して言った。
「こんな世界楽しいの」
僕は直ぐに答えた。
「腐りきった世界には何も感じないよ」
無意味な質問だな、と思いながらも答えた。
けれど、彼女はその答えを聞く前にこの世界からバイバイした。












向上心のない日々は昔からずっと続いていた。
何をやっても、屁理屈の正義で夢を殺した。
その度に僕らの明日は泣き叫んだ。
「助けてくれ」懇願されても、何もしなかった。
孤独な僕が頑張って生きているんだから、君だって大丈夫でしょ。
甘えてんじゃねぇよ。












町中にはゴミ溜めみたいなパチンコが多い。
パチンコを打ち続けてる彼にも昔愛すべき妻と娘が居た。
それなのに今は独り。
幼少年の僕達に指差して笑われてるよ。












しょうもないと言いながら、うざったい、枷でしかない僕らの思い出が詰まったアルバムを燃やした。
こんなゴミみたいなものの何が面白かったんだろうか。
通りすがりの人が怪訝そうに様子を伺っている。
此方を見てんじゃねぇよ。










治りゃしない最果てのロンリー。
僕ら以外買い被る倫理。
当然のように語り語られる倫理。
幸福の本旨って何だっけ。
ねぇ、誰か教えてよ。
教えてちょうだいよ。
もう嫌だ。
逃げ出したい声だけがハイファイ。












「言うこと聞かない奴は先生に言い付けるぞ」

誰かが言ったこのセリフ。
言い付けて何か変わるとは思えない。
だけど、大抵の奴らはその言葉に怯えて従う。
馬鹿みたいだよな、本当に。
でも、こう言う事はこれからも続くだろう。
だから、再教育の必要があるんだ。
じゃあ、始めようか。






fin.

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

再教育


今回はNeru様の「再教育」の自己解釈です。
何か不完全燃焼気味な感じです…

閲覧数:6,898

投稿日:2012/08/06 15:20:54

文字数:1,064文字

カテゴリ:小説

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