『アダム婦人』
byルカ
私は乳母である。巡音家第二十五代目女将軍、琉架様の乳母だ。琉架様は女子にして剣の腕は一流、先代に似て気丈な性格をお持ちであった。
代々死期の早い一族の末裔であった琉架様は、御自身のお体の変化にさほど困惑することなく、医師が告げた余命さえもすんなりと受け入れになった。思春期を過ぎ、美しい女性へと化したばかりだというのに酷過ぎやしないか、と涙を流したのはむしろ私の方である。
一族のお話は伝聞であったため真偽のほどは分からず、それ以前に初代まで遡れない。先代が最期に私に託した知識も、琉架様に委ねた歴史も、二十代以上続いているそれとは思えなかった。
琉架様はお嘆きになった。御自身が亡くなられたら、きっとこの一族は風化し、存在は風に流されて消えてしまう、と。そのために御身の存在を後世に伝える必要があったのだが、私の命にも限りがあることは言わずもがな、とうにご承知であった。
ある時、針を差し上げた。何でも、妙案が浮かんだとの事で。始めは糸もお渡ししたが、糸はやんわりとお断りになった。お裁縫以外に針を使うとは、私の小さな脳味噌では及ばぬことをお考えになったのであろう。
お亡くなりになる二年ほど前から、琉架様は自室に篭り、何かに励んでおられた。尤もその頃には病魔が御身体を蝕み、むやみな外出も禁じられたために、私が代わりに外に出ることも多かったため、詳細は分からない。
これは永久の課題になるのではないか、と私は正直思い始めていた。何故ならば、自らの死をもって存在を残すことなど恐らく誰かが先に考えてはいたものの、やはり叶わなかったから、このように長く続いていても残せない意志があったのだと、そう感じていた。しかしながら、私には死は消滅ということが当たり前すぎていて、疑問にも思わぬまま生涯を閉じていただろうから、高貴な方の着眼点は流石である。
「きっと寂しかったのよね、先代も、先々代も…」
白い着物をお召しになった琉架様は、白梅にそう零していた。
「私も、消えるのは、寂しいわ。」
聞いてはならぬ、と思ってはいたが、背骨の髄が痺れる感覚がした。まさかあの御方から、弱音ともとれる御言葉が出るとは。
お亡くなりになる前日に、琉架様は私を御部屋に呼んだ。左手の指には異常なまでに包帯が巻かれていたが、あえてそれを黙認した。壁を見て、試行錯誤の賜物だと気付いたからだ。そして病人のものとは思えぬ紅の唇から、私に最期の望みを託した。
一族が滅んでから早十年もの月日が流れた。私はこうして琉架様の悲願を叶えるべく記述した。まだ慣れない作業なので、多少乱れていることには後世の貴方方に目を瞑って頂こう。
かつて、桜に似た髪を持つ姫将軍がいらっしゃった。その美貌たるは万物を越え、その才能たるは天才をも超越した。彼のお方こそ、琉架様。
ここに最期に残された『遺書』を掲載する。これこそあの御方の悲願であり、御身を死にして永遠に保つ方法である。
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