頬を伝った その意味さえも
気付きたくなかった

人波の隙間を縫う
冷たい冬の風
マフラー越しの唇
もう言えない言葉

今さら 噛み締めてみても もう
隠せない息が 白く残って
寂しさ 知るのね

外したままの左のイヤホン
聴こえない あなたが
分け合った心 その半分が冷たいの
今も消えない 温もりの跡
ただ強く 惹かれて
流れるメロディー まだ遠く


優しくなれなかったね
最後までごめんね
強がりで薄情でも
ちゃんと立っていたくて

涙も流せない別れ際
あなたの笑顔が 切なく見えた
それでも それでも

手を振るたびに 増してく恋は
春を知ることなく
あなたと出逢うよりも前に帰っていくの
だから泣かない 悲しくないと
この気持ち 隠した
あなたを見送る手を とめて

街の中 人混み(ひと)の中
歩く音 息の音
無意識に探してしまうのに
この心の 半分に 気付けないよ

あなたの声が あなたの指が
少しずつ 褪せてく
何度もなぞって 重ねたはずの痛みまで
強くなれたら 忘れられるの
好きだった それだけ
降り出した雪は まだ淡く

切なく降った

今も消えない