ある少女に初めて恋をした 舞踏会でのこと

彼女は12時の鐘が鳴ると突然、走り出してしまった


僕は必死に彼女の後を追いかけた

あともうちょっと…もう少しで君に手が届く と思った瞬間

頬に暖かいものがぽたり……そして一瞬だけうかがえた彼女の表情

思わず足を止め、階段に立ち尽くし頬に手をあてる


これは……涙?


つかみ損ねた指先には彼女の体温と足元にはガラスの靴だけが残り、

抜け殻のようになった僕をよそに舞踏会は終わりを告げた。



あの時、君を捕まえてしまっていたら……

彼女の顔も声もすべてがこのガラスの靴のように儚く、魔法のような気がして

もしかしたらこの想いも一緒に消えてしまいそうで

『おねがい、このまま夢をみさせて』と彼女が叫んでいるようで

怖かったのだ

魔法が解けたシンデレラ

もう魔法の終わる瞬間を僕は怖がったりなんかしない

この終わりが次の始まりかもしれないから

ガラスの靴をもって会いに来るよ
魔法なんていらない、この胸でやさしく抱きしめるから

世界で一番この靴が似合う僕だけのお姫様

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

魔法の解ける瞬間

10月のお題「繋ごうとして躊躇う指先」からシンデレラが浮かんだのですが

気がつくとお題から少し脱線したり小説なのにセリフがほとんどなかったり…

これからもっと精進していきたいと思います。

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投稿日:2011/10/29 03:16:36

文字数:471文字

カテゴリ:小説

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