<Dear My Friends!第2期 第13話 出航!>

 そんなこんなで、ミズキ達3人も加わったパーティは、それぞれで出航までの2日間を慌ただしく過ごしたのでした。

 めぐみと学歩は、各自が持てる“戦闘用”武器や食料を手配して、既に連絡済みの船“ライブラリー・スター号”への積み込みに追われてました。勿論、『ギア』に入るような武器、“機関銃”や“ピストル”等はあるはずもなく、剣や盾、魔法用品、それと食料などだけだったが、これだけの人数がそれなりの期間滞在するわけであり、更に巧みな“偽装工作”も必要であり、積み込みは2日、まるまるかかってしまったのでした。

 テルとアペンドとルカ姫とリンとレンは、個人、他のメンバー問わず、それぞれ管理したい“魔法用具”や“生活用品”などを街に買い出しに行き、それを各自別に分けて梱包し、船に積み込む作業を行っていました。今回の事態が、“冒険や探索”から“戦闘”に切り替わった事で、変更、追加する荷物が大分出てきてしまったので、買い足した荷物もそれなりの量だったのです。

 色々話をしたり、ヤマト国とニホン国の話など、積もる話が多かった、“イア”と“ミズキ”と“ゆうま”と“りおん”は、一緒に街に買い出しに行き、イアは3人に自分の生まれの事を、3人はイアにギアの説明とヤマト国の生活環境などを説明して、邪魔だったお互いの壁を取り払ってしまったのでした。

ちなみにイアに付いていた“マーカー”は、『安全確保』の用途に切り替えて、そのままにしておくことになりました。本当は全員、マーカーを付けて置いて欲しかったのですが、イアはともかく、まだ疑心がある他のメンバーに要求するのは不味いと判断してやめたのでした。

 そして3人と合流してから2日後、ついに“出航”の日がやってきたのでした。

***

(2日後 インタネ共和国内 城塞都市クリアン ジェンド港の船着き場)

 各人は、蒸気船“ライブラリー・スター号”に乗船する船着き場に集まっていました。

リュウト:めぐみ様も皆さんも~、ちゃんと帰ってきて下さいよ~
リリィ:特にめぐみ様、“絶対”に帰ってきて下さいね
カル:準備日と留守中に溜まりに溜まる“書類”を解決しないといけませんからね

めぐみ:ははは…さすが係官達、厳しいなぁ~。うん、大丈夫! 絶対に解決して帰ってくるから!
ミズキ:私たちも皆さんを全力でお守りします!
ゆうま:頼んだ側ですから、当然頑張りますよ!
りおん:大船に乗った気持ちでいて欲しいのだ!

 学歩も風呂敷に包んだ手荷物を持ったまま、見送りに来た人たちにお辞儀をしていました。

学歩:拙者もついているゆえ、命に代えても守るでござるよ
めぐみ:いや、あんたも“生きて”帰ってくるのよ! 命をかけちゃだめ!
学歩:うむむ、わかったでござる

 見送りには、街の武器屋や雑貨屋の店主も来ていたのでした。

武器屋店主:ミズキさん達三人も出来ればここに戻ってきて欲しいなぁ。武器関係では力になれなかったけど、あんた達の『ギア』の話、もっと聞かせて欲しいからな
雑貨屋店主:りおんちゃんの話ももっと聞かせて欲しいからね

ゆうま:有り難うございます。出来れば帰ってきた、また雑談したいと思います
りおん:待ってるのだ!

 そして、テル、アペンド、リン、レン、ルカ姫の5人は、手荷物の最終チェックを行っていました。残念ながら、彼らを見送る立場のカイト王達、王宮のメンバーは、こちらには来られなかったのでした。

それでも一応、最高裁の通信室からクリプトン城へ、出発の連絡は勿論してました。カイト王とメイコ王妃は、見送れない事を残念がり、ルカ姫の事をとても心配していました。ネルハクテトのメイド3人と家庭教師のピコも、城を出るときに持たせた荷物の事を再度説明していました。

 そんな中、イアだけが、船を眺めたり街を眺めたりして、これから出航という行動をしていませんでした。それを心配してか、ミズキはイアに声をかけました。

ミズキ:イア? どうしたの?
イア:え? ああ、うん…。パーティメンバー以外で、私の関係者、いないから・・・・・・・
ミズキ:・・・そっか、錬金術で生まれてきたからね。見送る人はいないかも知れないけど、これからアナタをサポートするメンバーは沢山いるから・・・その、孤独にならないでね?
イア:はい、有り難うございます! 大丈夫、みんな仲のいい仲間だから…
ミズキ:そうね、うん、大丈夫みたいね。良かった。じゃあ、そろそろ乗船だから、一緒にタラップの前に行こうか
イア:はい!

 こうして、全員が『ライブラリー・スター号』のタラップの前に集まり、そして、ゆっくりと乗船していきました。

 そして数分後、遂に出航の時がやってきました。

 ボォ~

 大きな汽笛の音が響き渡り、甲板に集まったメンバー達は、見送りの方々に手を振って挨拶し、そして、船はジェンド港を離れ、一路、ヤマト国を目指したのでした。

***

 各自は各自の船室に、手荷物を置き、部屋の鍵をかけて、まず食堂に集まって、これからの事の説明を受けに行くことにしました。ちなみにミズキ達3人の部屋は、めぐみの指示で、めぐみ達の部屋の列と同じ場所に変更されたので、パーティ全員が船の一画で寝泊まりできるようになったのでした。

 そしてパーティ達は、全員、食堂に集まったのでした。

(ライブラリー・スター号 食堂兼会議室)

 そこにはめぐみ達の他に、いかにもな“おじさん”が一人、招かれてました。

めぐみ:この人が、この船の船長の“ウォルフガング”さんです
ウォルフガング:皆さん、少々の長旅になりますが、宜しくお願いします

 全員が会釈して挨拶しました。

ウォルフガング:皆さんもご承知ですが、この船は、ヤマト国の“サホロ港”に向かいます。現在、ヤマト国の中心部では内戦が起こっている関係で、中心部にある港が全て閉鎖されています。サホロ港は安全とのことで、ここが目的地になります。今回、臨時便になったのも、ヤマト国との連絡には、現在定期便がないのです。めぐみさんの取り計らいによって、臨時便を出すことになったわけですね

ミズキ:えっと船長、私、ヤマト国出身のミズキと申します。既にスタッフの方々にはご連絡しましたが、ヤマト国のサホロ港に北側から侵入して、私たちを降ろした後は、安全なドックに入って、待っていて欲しいのです。おそらく私たちが移動し、オーエド地区の問題を解決しても、あの地区の港から出港は出来ないと思います。再びサホロ港に戻ってきて、この船で帰ることになると思います

ウォルフガング:了解してます。こちらのスタッフの滞在関連も、連絡が行き渡ってます。ご安心下さい。それでは私はこれで戻ります。詳しい期間や航路については、めぐみさんに連絡しておりますが、不明なことがありましたら、お気軽に船長室までお越し下さいませ。それでは

 こうして船長は、スタッフの部屋に戻っていきました。

めぐみ:というわけで、この船でヤマト国のサホロ港を目指しているんだけど、乗船期間は前にも少し話したとおり、問題なければ30日間、つまり約一ヶ月です。

イア:(一ヶ月っていうと、日本―アメリカ間くらいか…)

ルカ姫:はいはーい! 一ヶ月って言うとかなりの期間だけど、退屈しのぎ、ちゃんとありますか!?
レン:まぁ、確かに一ヶ月、補給とメンテナンスで、どっかに停泊していくとはいえ、退屈しのぎは必要かな?

めぐみ:簡単な娯楽設備はあるけど、基本的には、みんなとの“談話”と“食事”になると思って下さい。遊びに行く訳ではないから、そこら辺は勘弁してね
ルカ姫:ちぇー

 どうやら船内の娯楽施設に興味を持ったメンバーはいなかったようでした。

ゆうま:私のノートPCに、コンピューターゲームが少し入っているから、遊びたい人がいたら説明するよ
リン:コンピューターゲーム?
ルカ姫:あ、あのアキバのお店に色々あった、あれ?
ゆうま:多分それです。まぁ、専用機ではないから、簡単な物しかないけど、結構な暇つぶしにはなりますよ?
レン:あ、それ面白そうですね、リン、スコアとか競おうぜ!?
リン:ぬ! 私に勝とうなんて、十と四年早いわ!
レン:いや、それ、生まれてすぐ…。よし! やるか!
ゆうま:わかりました。後で私の部屋まで来て下さい

ルカ姫:うーん、私はもうちょっと簡単で単純な方がいいなぁ…
ミズキ:では、イアさんと一緒に“私”と“りおん”のお話につき合っていただけますか?
ルカ姫:いいですね。アキバの事とかもっと知りたいからね。イアもいいよね?
イア:はい、私も知りたいこと山積みですから

テル:さて、アペンド、私たちはどうしようか?
アペンド:そうねぇ~、大人達は、めぐみさん達と、お話しましょうか。色々あるだろうし
めぐみ:そうですね、こっちの代表達で集まって、作戦を立てましょうか
学歩:うむ、策を立てるのは大事なことでござるよ

めぐみ:全員、決まったみたいね。船内の娯楽施設は、気が向いたら私に言って頂戴。用具とか貸しますので。それでは食事まで解散します

 こうして、全員が各自決めた場所に移動したのでした。

***

(ライブラリー・スター号 ゆうまの部屋)

 ゆうまは、入室してきたリンとレンをそれぞれ椅子に座らせて、各自にジョイスティックを手渡して、ジョイスティックの簡単な説明をした後、

『F-∞』(エフーインフィニティ)

 という3Dレースゲームの説明をしました。基本的にレースゲームだったのと、若くて飲み込みが早い二人だったので、数回の“練習ステージ”をプレイするだけで、ちゃんとレースが出来るようになりました。

レン:よーーーーーし! リン! 負けた方がオレンジジュース奢るのな!
リン:ふっふっふっ! オレンジジュース、何杯飲めるかしら?

ゆうま:それじゃ、第1レース、スタート!

 こうして、ゆうまの部屋で、熱いバトルが始まったのでした。

***

(ライブラリー・スター号 めぐみの部屋)

 めぐみの部屋には、テル、アペンド、めぐみ、学歩の『大人組』が集まってました。

テル:さて…、集まって策を立てるとは言ったものの、なにから始めるべきか…
アペンド:確かに色々不確定な事が多いし、これからやることも多いし、ある意味大変ね
学歩:一ヶ月もあるでござる、焦らず進めていくでござる
めぐみ:そうね、急いでも仕方ないし、とりあえず1つ1つ、まとめてから進めましょうかね

 4人はとにかく、これまであったことを、紙に書きだして、まとめていく事にしました。

***

(ライブラリー・スター号 ミズキの部屋)

 ミズキの部屋には、ミズキ、りおん、ルカ姫、イアの4名がいて、各自、飲み物を用意していました。

ミズキ:まぁ、長旅だし、ジュースでも飲みながら、ゆっくり色々お話を進めよう・・・・・・
ルカ姫:そうですねよ、楽しい話をs
ミズキ:・・・・・とは思ったんだけど、イアさんやルカ姫とだけお話できる機会が出来たからって事で、りおんから大事なお話があるそうよ。出来るだけ、お二人だけの中に留めて置いて欲しい事なんだけどね…

ルカ姫、イア:?

 りおんは珍しく浮かない顔で、ジュースにもほとんど口を付けない状態でした。ですが、意を決してルカ姫とイアの二人の方に顔を向けて話を始めました。

りおん:・・・・・・・・・・素材は今のなんだけどね・・・・・・・・・
イア:????

りおん:アチシも錬成されたんだ・・・・・ヤマト国で・・・・・・

イア、ルカ姫:!!!!!!!!!!!!!!!!

(続く)

CAST

イア:IA-ARIA ON THE PLANETES-
ルカ姫:巡音ルカ
魔導師アペンド:初音ミクAppend
魔導師テル:氷山キヨテル
僧侶リン:鏡音リン
勇者レン:鏡音レン

メイド・ネル(ネル):亞北ネル
メイド・ハク(ハク):弱音ハク
メイド・テト(テト):重音テト
家庭教師ピコ(ピコ):歌手音ピコ

異国の剣士 神威学歩:神威がくぽ
裁判官 勇気めぐみ:GUMI

法廷関係者 カル:CUL
法廷関係者 リリィ:Lily
法廷係官 リュウト:リュウト

ヤマト国からの旅人三人組
瑞樹(ミズキ):VY1
勇馬(ゆうま):VY2
兎眠りおん(りおん):兎眠りおん

ミゥ:Mew

その他:エキストラの皆さん

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

Dear My Friends!第2期 第13話 出航!

☆オリジナル作品第16弾である、「Dear My Friends!第2期」の第13話です。

☆遂に出航です!

☆ちと進行が遅くなってしまったので、今回は少し飛ばしました。

☆そして最後に引っ張った、大事な設定! どういうことなのでしょうか!?

***

私がここに投稿したボカロ小説のシリーズ目次の第1回目です。第1作目の“きのこ研究所”~第8作目の“部室棟”+番外編1作目です。
作品目次(2009/12/25時点):http://piapro.jp/t/5Qsh

同じく、目次の第2回目です。第9作目“鏡音伝”~第15作目“ルカの受難”の途中までです。
作品目次(2010年1月6日~2012年2月7日):http://piapro.jp/t/9GY1

更に、完結した『Dear My Friends! ルカの受難』のみの目次も作りました。
作品目次(Dear My Friends! ルカの受難):http://piapro.jp/t/qj6A

***

hata_hata様が、第1作目のきのこ研究所のイメージイラストを描いて下さいました!。まことに有り難う御座います!。
『「却下します!」』:http://piapro.jp/content/oqe6g94mutfez8ct

☆hata_hata様が、第2作目のきのこ商店街のイメージイラストを描いて下さいました!。本当に有り難う御座います!。
『causality』:http://piapro.jp/content/c0ylmw2ir06mbhc5

☆nonta様も、同じく商店街のイメージイラストを描いて下さいました!。本当に有り難う御座います!。
『ようこそ!、きのこ駅前商店街へ!』:http://piapro.jp/content/dmwg3okh7vq1j8i1

☆あず×ゆず様が、第8作目の部室棟の死神案内娘“テト”を描いて下さいました!。本当に有り難うございます!。
『おいでませ!木之子大学・部室棟へ♪』:http://piapro.jp/content/rsmdr1c3rflgw7hf

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投稿日:2012/12/06 18:05:26

文字数:5,163文字

カテゴリ:小説

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