episode1-3
…ゲームの世界から戻って1週間。…信介は人を殺めた事を、まだ引きずっていた。外をぼんやり眺めては…深いため息をつく、を繰り返していた。「…何があったんだろう?あの信ちゃんがあそこまで落ち込むなんて…。」「練習にも出て来て無いし…あの調子のままでは、最後の大会も出られるか、どうかも解らない…。」部長の一馬と濃巳が心配していると…1人の男子生徒が飛び込んで来る。「し、信介にそっくりな、甲斐南の男子生徒が現れた…。」ハッと思い付いたかの様に…飛び出して行く濃巳。「…どうゆう事なんだよ?」一馬が飛び込んで来た生徒に聞き質(ただ)す。「…だから、言ったままだって。確かめたいなら、自分の眼で確かめてきなよ。今なら、職員玄関にいるはずだ。」「わかった…。」飛び出す一馬。その話を聞いていた信介も後を追う…。
先に飛び出した濃巳は…『沖田君に間違いない!…でも、どうして…?』後を追う一馬は…『信介にそっくりの甲斐南の生徒が…何をしに来たんだ?…わかんねぇけど、確かめてみたい。』
一方…信崇と半兵衛は、濃巳の忘れ物を届けに来ていた。「私は念の為、一応の許可を頂いて参ります。少しお待ち下さい。」そう言って、その場を離れる半兵衛。頷く信崇の周りが次第に騒がしくなってゆく…。「…ねぇねぇ、剣道部のあの人に似てない?」「うぁ~っ、やべ~っ!マジで、そっくりじゃん!」そんな声が飛び交う中…平然と周りを見渡す信崇。『…誰かに似てるとか、言ってたな…。誰なんだろ?』「沖田君!…何でここに居るの…?」濃巳が目の前に、飛び込んで来た!「うわぁ~っ!えっ…及川さん?…驚いた。」「驚いたのは…こちらの方です!…どうして学校へ来たんですか?」「…これを届けに来た。」そう言って…キーホルダーを見せた。「あぁぁ~っ!それ、それっ!あった~っ!…どこに、これがあったんですか…?」「昨日の送って行ったあの後に、車のシートに落ちてたから…。」「ありがとうございます!本当に、ありがとうございます!…これ、じいちゃんの形見で…じいちゃんが私の為に造ってくれた唯一の物なんです。だから、大事に、大事にしてたんですが…昨日から見つからなくて、探してたんです…。あの…もしかして、これを届ける為に、わざわざ来て頂いたのですか?」手渡されたキーホルダーを、胸に握り締めて…潤んだ眼をして話す濃巳を、照れくさそうに視線を外しながら、話す信崇。「大事な物を、他に落とさなくて…良かったです。」そこに一馬が飛び込む様に現れる。そして…直ぐに固まった。『何だよ、これ…。信介がもう1人いる…じゃんか…。』呆然と立ち竦(すく)む一馬の隣に、信介が現れる…。そこに、騒ぎを聞き付けた先生と半兵衛が戻って来た…。「あぁぁ~っ!…増田先生ですよね!解りますか…?及川ですよ!尾谷先生の所に居た、及川です!」「おぉぉ~っ…。これはこれは、懐かしいですね。眼元に、若い時の名残りがあります…。及川君は…ひょっとして、この学校の教師ですか?」「はい…。お恥ずかしい限りです。それにしても、何年ぶりでしょうか…?お懐かしい限りです。」「いやいや…教師に成られるとは、ご立派になられましたなぁ。…見違えてしまいました。おっと…こうしては居られません。信崇様をお助けせねばなりませんでした。」「私も生徒たちの騒ぎを、鎮めなければなりませんでした。」そんな及川君と呼ばれる人は…及川哲司(おいかわてつじ)、社会科の教師であり、濃巳の父親でもある。剣道部の監督兼顧問。尾谷道長の唯一の弟子であり、増田半兵衛は共に汗を流したの師匠でもあった。
そんな半兵衛と及川先生とのやり取りの最中…信介と信崇が初めて顔を逢わせる…。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

歴史を変える、平和への戦い

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投稿日:2024/03/17 17:07:01

文字数:1,536文字

カテゴリ:小説

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