アイ・ストーリー
第二話「以心伝心」 続きの続きの続き

「リンが居なくなったって……!?
マスター、どういう事なんですか?」
「ん……昨日はあの後、リンちゃんと話して……。
ちょっと機嫌が直ったみたいだったの。
それで、今日は私と千夏でその事を奏兄さんに報告しに
行ってたんだけど……帰って来たら、リンちゃんの姿が
何処にも見当たらないの!KAITO……どうしよう!」
「マ、マスター。落ち着いて!千夏さんは?」
「千夏は、MEIKOさん達も手伝ってくれてるから
この辺を探してると思う……。」
「じゃあ、僕も探してみます。」
「本当!?じゃあ、KAITOは私達の家の近くを探して!」
「はい、分かりました!」

 リン……何処に行ったんだろう……。

 僕はリンを探した。何となくリンが行く場所に心当たりが
あったので、案外早くみつかった。
「リン!!」
「えっ……お兄ちゃん?」
 リンは公園のベンチに座っていた。
「マスターに聞いたんだ。リンが居なくなったって。」
「……何でここに居るって分かったの?」
「リンは、レンと喧嘩しちゃった時とかによく
ここに座ってるだろう?だから、何となく。」
「あ……そういえば。お兄ちゃんとも、ここで
よく会うもんね。その度に、私の話を聞いてくれて……。」
 僕はリンの隣に座った。
「……あのね、リン。僕、さっき夏瑠さんの学校に行って来たんだ。
レンとルカも一緒に。」
「夏瑠の……?」
「うん、レンが夏瑠にリンを説得してもらえないか
頼みに行ったんだよ。」
「レンが……。でも、夏瑠は演奏会の練習が……。」
「うん。だけど、夏瑠さん……すごくリンの事を心配してたよ。
リンを傷つけてしまったって……。」
「…………。」
「……リンは、夏瑠さんが大好きなんだよね?」
「…………。」
「夏瑠さんは、マスターじゃないけど……大切な人なんだよね?」
「…………うん。」
「……そういう気持ちを待つのは、いい事だと思うよ?」
「えっ……?」
「僕の勝手な考えだけど……。マスターの為だけに歌うのが
VOCALOIDの全てじゃないと思うんだ。大切だと思える
誰かの為に歌うのも、僕達が存在する理由の一つなんじゃないかな。」
「大切な……誰かの為に……。」
「……と、言っても。僕の一番大切な人はマスターだから。
これじゃ説得力ないよね……。」
「お兄ちゃん……ううん、そんな事ない!私……
ずっと、私っておかしいのなって思ってた。
マスターは千夏なのに、何で夏瑠がこんなに気になるのかなって。
……今のお兄ちゃんの話を聞いて、何かスッキリした!
私は、夏瑠も、千夏も……みんな大切!だから私は
みんなの為に歌いたい!」
「リン……。」
「あ……でも、私……。みんなに迷惑かけちゃった……。
お兄ちゃん……ごめんね。」
「いいんだよ、リン。こうしてちゃんと謝ってくれたから。
みんなにも、謝りに行こう?」
「……うん!お兄ちゃん、ありがとう!」
 良かった。リンはいつも明るいけど、色々悩んでたんだね。

 その後、僕はリンを千夏さんの所まで送り届けた。
「リ……リン!!アンタ、何処行ってたのよ!
心配したんだからねっ!」
「ご、ごめんなさい~。千夏……うわぁ~ん!」
 千夏さんに怒られて、リンは泣き出してしまった。
「全く、もう……!」
「でも……良かったわ。リンが無事で。
KAITO、お手柄じゃない!」
「あはは……。ありがと、めーちゃん。」
「……あははじゃないだろ、兄貴……。」
「えっ!?うわぁ!?レ、レン!?ルカ!?」
 あ……しまった!レンとルカの事、すっかり忘れてた!
「兄貴が帰った後、桃香とテトの質問攻めだったんだぞ!
これ以上、大事にしたくなかったから隠すのに苦労したんだからな!」
「あ、う……。ごめん、レン~!」
 レンに反して、ルカの方はあまり怒ってないようだ。
それがせめてもの救いと言うか、何て言うか……。
「KAITO兄さん……。ちゃんとした理由も言わないで帰ったのは
良くないと思います。私はともかく、レンに迷惑です。」
 ルカも怒ってた。あぁ……もう……本当に。

「……ごめんなさい……。」


 あれからリンは電話で夏瑠さんに謝った。
二人はすぐに仲直り出来たみたい。良かったね、リン。
「……はぁ~~~……。」
 今日は忙しい一日だった。僕はリビングのテーブルに突っ伏した。
「……KAITO。KAITO!」
 マスターが呼んでる。何だろう?
「マスター?何ですか……えっ?」
 僕の目の前にアイスと……マスターの笑顔。
「はい、これ。今日はKAITO頑張ったもんね。
だから、ご褒美だよ。いつものよりちょっと高級なんだよ~?」
「…………。」
「どうしたの?KAITO?」
「あ……いえ、いただきます!マスター!」


 大切な人の為に歌うのがVOCALOID……。

 僕の一番大切な人。

 それは……マスター、貴女です。


第二話「以心伝心」 完

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

アイ・ストーリー 第二話の続きの続きの続き

何とか第二話「以心伝心」、完成しました!
話の後半は意味不明だし、最後の方のセリフは
ぐだぐだで……完全な黒歴史です(汗)。

第二話の番外編を書く時は(←やるのか)
千夏の家にお泊まりした美冬の視点になるかと。
奏の所に報告しに行った部分もかな。

第三話は考え中だけど、病気ネタにする予定。
歌詞の方にも投稿してみたいなぁ~……。

追記:第一話本編・番外編→完成。
   第二話本編・番外編→完成。
   Lied→一応、完成。

閲覧数:188

投稿日:2009/04/07 12:11:34

文字数:2,071文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

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  • 氷雨=*Fortuna†

    服部さん、こんな黒歴史にお褒めの言葉を……!!
    感想ありがとうございます!!

    番外編は、書きます!プロットの作業ペースによっては
    第三話の方が先になってしまうかもしれないですが……。
    歌詞投稿にも最近、興味が出て来たので。でも、番外編もやりたいです。(←欲張り)

    ルカがメインの話を語るのは果てしなく未来(さき)の事ですが
    一応、何となく考えてあります。

    2009/04/07 20:46:52

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