「宛名のない手紙」
忘れんぼうの少年は、ある日少女に恋をしました。
少女と過ごす日々は素敵なものでした。
しかし少年は、少女のこともすぐに忘れてしまいます。
忘れたくなくて、文字に残すことにしました。
少年はいつしか覚えていることの方が少なくなりました。
少女もいつしか傍からいなくなりました。
少年は、心に残った少女を消されたくなくて、必死に文字にしました。
少年はなにもかも忘れてしまいました。
もう自分のことすら覚えていません。
ある日少年は一つの手紙を見つけました。
そこには、少女に宛てた自分の言葉がたくさん綴ってありました。
そうだ、忘れたくないと思う人がいたんだった。
少年は思い出そうとしました。何度も何度も、思い出そうとしました。
それでも、少女の名前も笑顔も何一つ思い出せません。
けれど少年の頬には、忘れたはずの涙が流れていました。
少年の心にある感情だけは、まだ確かにそこにあるのでした。
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ご意見・ご感想
takaokatoshiya
ご意見・ご感想
maxzさん、コラボの皆さん、おはようございます。キラキラして、爽快で凛々しい、すっきりしたロックソングです。 (^_^)/
2017/08/07 08:28:57