今日も良い天気。毎日こう良い天気だとテンションも上がるってもんだ。こういう日には音楽を聴きながら文章を紡ぐのが一番。と、いうわけで音楽ファイルを開いてリピート再生させ、メモ帳を開いて文字を書き連ねている。・・・なんていう幸せ。そう思いながらキーボードを打っていると、やっぱりあの青いのは部屋に来た。・・・ちゃんと、ノックをきっかり2回してからという律儀さを見せ付けて。
「・・・楽しそうですね、マスター。なんかあったんですか?」
それはこっちの台詞だよ、と思ったけどそんなことは言わずに、
「まあね」
とだけ言っておいた。いくらカイトでも内緒にしたいことがあるんです。そう心の中で呟く私。
「・・・そうですか」
少し間をあけて返事するカイト。・・・うーん、分かっちゃったかな。カイトって君と同じくらい勘が鋭いからね・・・。油断禁物だね。そうだね。
「ところで、今流れているこの曲、なんていうんですか?」
カイトは今流れている曲に興味を向ける。今流れている曲というのはリピート再生させている音楽ファイルのこと。私は、
「えーとこの曲は・・・『Funny Sunny Day』っていうんだよ。テレビで偶然流れているの聞いて、あ、この曲いいなって思って動画サイトでダウンロードしたんだー」
と、言うとカイトは、
「へぇ、この曲って英語版と日本語版があるんですね」
そう言って、興味深そうに画面をのぞきこむ。ほんと、カイトってば、こういうのには目がないんだから・・・。
「うん、どっちも聴くけど・・・そうねぇ、日本語版の方がよく聴くかな。最近は英語版の方も聞いてるんだけどね」
この曲、かっこいいんだよと力説する私にカイトは頷いて、
「確かに、かっこいいですね。この曲聴いてるとマスターの趣味が分かりますよ」
「・・・言っとくけど、この曲聴いても私の趣味は分かんないから。カイト、余計な事言っちゃだめ」
やんわりと、でも威圧するように言う私。この青いのに何か口走られてはたまったもんじゃない。
「なにか、それで困ることでも?」
カイトは涼しい顔。・・・むう、無駄に、無駄に、かっこいいのは、何故だ。
「・・・」
私は少し考え、
「・・・・・・・・・カイトのばか。そんなことも分からないの?」
と、ちょっと違う感じで言ってみる。
「・・・え、いえ、僕は別に」
途端あたふたするカイト。
「カイトって、そんな風にいじめを・・・。最低最悪」
さらに言ってやると、
「すいません・・・・もう二度と貴女をからかいません・・・すいません」
との返事。
「ふっ、口喧嘩で私に勝つなどとは100年早いっ!!」
・・・なんか大人気ないような気がするがそこは気付かない事にする。
「・・・そうですね。貴女を軽く見てました。これからは重く見ます」
「・・・・・重く見るってちょっと日本語として怪しいけど」
「・・・」
「ま、いっか。・・・でさ、カイトって好きな人とかいないの?」
「・・・」
「え?まさか私に隠れて・・・」
「違いますよ」
「あ、そう。・・・ほんとに?」
「本当ですよ」
「じゃ、誰?」
「・・・・・・・」
「ま、今日はこのぐらいにしといてあげるよ。・・・でも、いつか教えてね?」
「・・・・・いつか、必ず貴女に教えますよ」
カイトは少し切なそうな表情で、そう言ったのだった。
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