花びらの行く咲き 歌詞

◇◆Track1 少女の足音◆◇
日曜日の朝、彼女の足音。

◇◆Track2 海咲の独白◆◇
私に黙って桜は咲いた 潮風が運んだ花びらの行く先はきっとあの街
後部座席の窓からながめた景色は 灰色に染まっていた あの春の日

終わりが来ない小説を閉じた その続きはもう知らないで済むと

あの詩は咲いて 風吹けば散って 恋をした 
私は最低な人生を歩んで
また春を待って 夜少し泣いて 
幸せになりたいだなんて 思い始めてしまったから
もうさよなら

桜、散ってしまった方が穏やかな春 君を連れ去ってしまいたいけど
ただ降りしきった雨に紛れて あと少しだけと傷をなぞった 
空を見ていた

どうすればいいの 夢はかなわないよ 仮初の愛も あの日の記憶も
忘れてしまえよ 諦めていたいよ でも まだ 捨てられずに

明日世界は終わるから 今日がずっと幸せなままで

あの詩は咲いて 風吹けば散って 恋をした 私は最低な人生を歩いていたから
スカート揺らしている風 何処へ 私を連れていくの
願わくば君の方へ 昨日のその先へ
「ねえ 笑って」

◇◆Track3 上履きと花◆◇
スカート揺らしている風
何処へあなたを連れていくの
どこまでも行けそうな空

夕陽が梳かした髪を見ていた 窓辺に咲いた花を見ていた
水槽のような教室の中は あまりに緩く時が流れた
まだ夏は始まったばかりだ だけど二つの影は俯いた
もうすぐ世界が終わるような寂しさを
堪えるように笑いあった

スカート揺らしている風 何処へあなたを連れていくの
秘密の鍵を持って 夕暮れ 屋上へ
眩しくて 目を閉じた

あなたの笑った顔を見ていた 少し震えた右手を握った
街を束ねたあのガラス玉 弾けていくのを待っていた二人だ

スカート揺らしている風 何処へあなたを連れていくの
泡沫追いかけて 小さな子猫のようなあなたごと
連れ去っていってしまった

何かを隠すようにそこに花が咲いていた
どこにも行けないあなたの上履きを脱がせて
溺れたみたいに息を切らしては 拙い言葉を結んで
階段を駆け上った

スカート揺らしている風 何処へあなたを連れていくの
「さよなら。」

咲いては枯れる花びら それならばいっそこのまま
思い出になってしまえたら 幸せ

屋上に上履きと花 真っ赤な嘘の花束
君だけのために書いた 真っ赤な嘘の花

◇◆Track4 歌う幽霊◆◇
私は幽霊なんです この星に生まれ落ちて
何年くらい経ったっけ もう忘れてしまったんだ
十五年目の夏に私は何処かへ消えて
気づいたら半透明な姿になってしまったのでした
なんて名前だったっけ どんなことを思ったっけ
そんなことも憶えちゃいないけど
ただ歌が好きだったとか 君が好きだったとか
憶えていた
青い街灯の下で愛を歌う 夜、泣きながら
私だけがいない街の片隅で 不甲斐ない声で歌ったって
気味悪がられるだけなんだって わかっていたけれど
青い街灯の下で哀を歌う 夜、泣きながら
私だけがいない街の片隅で ただ聴いて欲しいことが
あっただけなのになぁ

私は幽霊なんです この星に生まれ落ちて
後悔ばっか恥の多い人生を送っていました
なんですけどね、やっぱ失くなったら惜しい物だ
変わり映えない毎日に何か意味があるような気がしていたんだ

このまま私、 動けずにいるよ あの日のことはもう 思い出せないんだ
溢れ出す声、涙の雫も 止められないままで まだ歌っていたんだ

教室の片隅 屋上の鍵 追いかけていた あのシャボン玉
弾けて消えた あの日の風は今はもう 私の髪を揺らすことはないけど

今日も街灯の下で藍を歌う  夜、泣きながら
私だけがいない街の片隅で 不甲斐ない声で歌ったって
気味悪がられるだけなんだって わかっていたけれど
青い街灯の下であいを歌う 夜、泣きながら
私だけがいない街の片隅で
ただ聴いて欲しいことがあっただけなのになぁ
それなのに聴いてもらえないなら
死んでしまえたらいいのになぁ

◇◆Track5 私を夏に連れていって◆◇
東京も滅亡の日は近い ねえ今日も夏の陰に座って
空を眺めている君に 触れられないままで

「東京も滅亡の日は近い。」だなんて 
お道化た言葉も君には届かない
涼風が恋しいだなんて思えないような そんな日でした
君越しに見た世界の色はまだずっと透明だ
あの夏に咲く花さえも色や名前はわかんないの
君がいたあの夏の日をここでずっと思っている
ただそっと見知らぬ原風景は また揺れる
私を夏に連れていってよ。

想像の中で君を描くだけ 
六畳を夕日が染めてしまう前に
夏の日の喧騒を抜けて 翳る鳥居の下で
あの子が待っている 
君の背を見た夏の日が夜に溺れている
あの空の藍に全部溶けていく もうお終いだね

君は街を去っていく 夏が通り過ぎていく
夜行列車、軋む窓に浮かんだ淡い花火が消える
その煙を見ていた 
君越しに見た世界の色はまだずっと透明だ
あの夏に咲く花さえも 
夜空に咲いて 泣いた
君がいた夏の日をここでずっと思っている
ただそっと見知らぬ原風景はまた揺れる
私を夏に連れていってよ

君の歌を 思い出して 泣いていたい
夜は明けていく

◇◆Track6 海と蛙◆◇
息継ぎ覚えずにあなたは海に浸かった 
灰色の空の所為で僕は涙を流した

もしも翼が生えたら泡沫の恋も冷めて
刹那の森を抜ける頃、あなたと目を合わせて話そう

ここでしか息はできないというのに
溺れていく方法しか知らなかった
そこでなら涙流してもいいんだと それだけで
海に飛び込んでしまった日のこと

代わりを見つけられずにあなたは今日も笑った
塞いだ部屋の向こうで同じ言葉が響いた

繰り返してしまうことは仕方ないんだといって
虚ろな目に映るのは変わらぬ始まりの空

ここでしか息はできないというのに
溺れていく方法しか知らなかった
そこでなら涙流してもいいんだと それだけで
海に飛び込んでしまった日のこと

◇◆Track7 白夏◆◇
枯らしてしまった朝顔が窓の外を眺めていた
雨上がりの空に白い絵の具をこぼしていた
僕は昨日をかけないままでいる

君が落下していく夏の午後 揺れる雲を思い出して
君は破花。夜に綺麗に咲いていた また明日の話をしよう
不意に発火してしまったそれと また終わってしまった夏の日を
追いかけてもまだ白いままだよねえどうして

夏影に座る君が 木漏れ日を音にしていった
夜祭の産声 焦げたにおいを憶えていた
最低な思い出が夏をむしばまないようにと
僕はそれだけ願って 君のために詩を綴って

僕が吐歌していく君のこと 浮かぶ言葉空になって
朝になった街に重ねていった 君の残像が溶ける
渚に置いてきた思い出も 砂の上に残した感情も
いなくなってしまえば終わりだよ
って何度もつぶやいて

最後に君が言ったんだ 俯き背を向け去っていった
嘘吐きな君の声がまだ 耳元から離れないや

夕に夜の色が混ざっていった
背の高い夏草を撫でて言った 蝉の声さえ掻き消して 
「また、明日。」

花火が咲いている夏の日を僕はずっと思い出して
君が泣いた後に残していったあの雲と話をしよう
君を透過していく夏の色 ただ終わってしまった夏の日も
塗りつぶしていくんだ 何も描けないまま 真っ白に

◇◆Track8 海の似合う街◆◇
海の似合う街につづくバス停のベンチで君が眠っている
いつも通り寝坊した がらがらのバスを待って
君と待って バスは止まって
つかの間の浅い眠りで君はどんな夢を見たの
幸せそうな寝顔 僕の右肩の上
ただ僕は何もできず 窓から空を眺めていた
君がいないのなら 夏が来ないのなら この街の海もきっと枯れてしまうね
空が青いことを 雲が白いことを 胸が苦しいわけを 君が教えてくれた

いつの間にか僕もまた眠っていたんだ 降りる駅を通り過ぎたバスがまだ揺れている
君の肩をたたいて起こしてみたって 君はまた寝ぼけた顔で笑った
急いでバスを降りたら 走り出したんだ 逆方向へと 
それでも時間はきっと戻ってくれない
海の似合う街を背に ただ間違う僕の背に 君を感じていた
時間が止まったなら 昨日にまた会えたら それが君を傷つけてしまったとしても
愛も 恋も きっと 君のいない世界にないことさ

まるで君みたいだねと 夏草を影でなぞる
夢を見ていた僕たちの世界が終わってしまわぬように
夢を見ていた 僕の世界で
何も言えず笑いあったんだ ねえ それでも許して

君がいないのなら 夏が来ないのなら この街の海もきっと枯れてしまうね
空が青い訳を 雲が白いことを 胸が苦しいわけを君が僕にくれた

夏が来ないのなら 朝が来ないのなら 昨日が来ないのなら そうやって僕は
君がいないことを 確かめながらそっと 服を着替えたりして
また涙を流したりして
この部屋には君はいない あの街には君はいない あの街には海はない
初めから そうさ

(いつも僕は下ばかり向いていた
だけどね今は空を見上げていた
君が街に色をつけていくから この街には海が似合うんだ

全て投げ捨ててしまえたなら 君のことも忘れられたかな
君に重ねたあの日の面影 どうしてもまだ消せないままで


君がくれた世界の彩り だけどどこか寂しく縁取り
君がかけた甘い夏の魔法 さよならをしたあとの横顔

夏蝉 夕立 枯らした朝顔 暑いねって君が微笑む顔も
いつかきっと思い出になるよ 気づかないうちにそっと

君がいない部屋で息をして 君がいたような気がしていたんだ
だけど海がよく似合うと思うのさ)

◇◆Track9 夏の垂直◆◇
夜空を眺めては 花火を待っていた。
窓は海のようだ。 まだ冷たい。まだ。
言葉を失くしたら。 水槽の外みたいだ。
上手く息ができないから まだ。まだ。

何処かで声が聞こえた。
君の歌う声が。 伝えたかったことなんて 届かないまま
水面に花が咲いた 夏が確かに息をしていた
すれ違う雫も虚しくなるほどに 綺麗だったんだ
君のいない街を照らした 夜の花に恋をしていた
ごめんね だけど さよなら。

あの日の屋上に 置いてきた赤い嘘が
優しく胸を絞めつけて まだ切ない まだ
ゆっくり落ちていった 私のこと置き去りに
夕空は眩しかった 痛いほど

このまま夏が終わるまで
あの垂直は夜の残光になって溶けるよ
君を忘れるための言い訳 淋しいよだけどそれだけで
君への思いすぐに思い出せるから だから

水面に花が咲いた 夏が確かに息をしていた
すれ違う雫も虚しくなるほどに 綺麗だったんだ
君の光を遮って 蕾は何度も浮かぶんだ
咲いては枯れる花びら

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

Concept Album 「花びらの行く咲き」 歌詞集

超会議で出品するアルバムの歌詞集です。

閲覧数:333

投稿日:2018/04/25 01:04:22

文字数:4,457文字

カテゴリ:歌詞

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