黄昏が忍び寄るわ
音もなく影を着て。
どこって、見えないの?
あなたの心の中よ。

爛熟した果実のように
紅い日が、落ちていく
腐れたリンゴの汁が
街角のポスターを染めた。

“ミンナ気ヅカナイフリシテルダケダヨ。
 ソレトモソノ目デ見ルノガ怖イノカ?”

愛の歌
誰もが口にする。
だけども嗚呼、この国にはもうその意味を語るものがないんだ
高架線の下の影だまりの中で
ゆがんだ《愛情》(マッドネス)がドロドロ蠢いてる

そのドアは開けちゃだめよ。
恐いものが待ってるの。
え?ここは僕の家だよ?
あなた“あれ”が見えないの――――

ひたよせる黒い闇に
血の色で、裏打ちを。
街角のポスターは
うらぶれて雨に濡れてた。

”エライヒトガ言ッテル事モミンナミンナ嘘サ。
 イッソ君モ終ワリニシテシマッタラ?”

愛ノウタ
誰もが知っている。
”延々無限再生産”(ヘビーローテーション)してるよ、欲しければその店で買いな。
まやかしの合成陽(ライト)の中で
薄っぺらい《偶像》(ニンゲン)は狂楽に踊り続ける

腐れてく。
堕ちていく。
騒がしくもなく、ただ漫然と。
辞書から意味が消え、言葉が消えた。
ある日突然”いつも”が実態を失い、気づいて振り向けば、もう――――

そこには、暗闇が――――

”ホラ、ダカラ言ッタロウ?”

哀の唄
誰かが口ずさむ。
だけどももう、本当にその気持ち分かる人はいるの?
アイノウタ、“I know that”.
知っているだけで 意味はないの

黄昏の残り火の紅い海の中で
《家族》(ファミリー)の顔をした人形が息絶えていた
狂った電気仕掛けの箱の中で
プロパガンダはそれでも野次り続ける。

終わり行く国家に、唄おうか
腐っていく世界に、お別れの歌を。
まだ気づかない人たちにも、聞かせてあげようよ――――
たいして意味のない、この《鎮魂歌》(アイノウタ)。

愛してました。
さよなら――――。
さよなら――――。
さよなら――――。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

落日国家ロマネスク

久しぶりの投稿になります。
なのにとんでもなく暗い詩。

タイトルは適当に決めました。
何を示してるかは深く考えたら負けです。

閲覧数:150

投稿日:2013/08/21 14:31:54

文字数:837文字

カテゴリ:歌詞

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