キョウ視点
「ん…んん…」
私は、目が覚めた。ここは…ボーレイシェンのコックピット?
あ、そうだ…そういえば、ララちゃんを助けようとして、空間転移に巻き込まれて…。
「ララちゃん!」
私は無線でララちゃんのボーレイシェンに繋いで連絡を取る事にした。
:コードAV01鈴音ララ:
私は通信先を設定して通信を始める。
「ララちゃん、大丈夫?」
すると、聞き覚えのあるような、ないような…男の子っぽい声が聞こえた。
『ララの体は大丈夫だ。俺が無事だからな…。だが、ララの精神の様子がおかしい』
「君は…」
『俺はアクア。ララのもう一つの人格だ。お前の事は知っている。ソウの事もな』
アクア君はそう言った。ララちゃんのもう一つの人格…。なんだかララちゃんと同じ体からとは思えない程の低い声だった。それを私が言えるのかどうかはまあ言えない方だけれども。
「で、此処は何処なのかな?」
私はアクア君に尋ねてみた。何かの星らしき物が見えるけれど、それは地球ではなかった。
ただ、こんな星を何かの映像で見た事がある気がする。何でだろう?
『これは、エンジェ星だよ。俺も直接来るのは初めてだがな』
エンジェ星…そうか、だからなんだ。私が何かの映像で見た事あるのは。
宇宙から見てもわかるように、荒れ果てた地が広がっている。
これが…ユアさんの、ミリさんの故郷だと言う…。
「なんだか、寂しい星だね…」
<とりあえずエンジェ星に降りるかした方が良いんじゃないのか?俺達の一番の目的地は此処だったしな。それに、ボーレイシェンの方も限界みたいだぜ>
ソウが言うとおり、ボーレイシェンは私のも、ララちゃんのもボロボロ。
エンジェ星に降りる事が今では一番良い方法だった。
『ボーレイシェンの動力源は残ってるか?』
アクア君が私に尋ねてきた。
「まあ、降りる分くらいにはね」
『なら、降りるぞ』
「わかった」
アクア君の指示で私はエンジェ星に降りる。
そこで私達が見た物は、あまりにも残酷な物だった。
***********************************
リン視点
「で、それがミク姉の手がかりなんだよね?」
私は、クオ兄の持っているミク姉のコアを見る。
傷一つついてない、とても綺麗なコアだった。でも、なんだか中心が黒ずんでいるような気がする。
「この中心の物が、バグだと思うんだ」
「バグ!?」
クオ兄の言葉に私は驚きを隠せなかった。
「じゃあ、ミク姉はバグで体が消えたって事!?」
「そう…まだ、続いてたんだよ…。『ヒカリ』の話しが」
クオ兄は悲しそうな顔でそう言った。
ヒカリって確か…ミク姉とクオ兄の歌…もしかして!
「僕は…所詮バグだったんだね」
クオ兄は、そう自虐的に笑って、ミク姉のコアを持って私の部屋を出た。
「待ってクオ兄!」
私は、必死にクオ兄を追った。
**********************************
キョウ視点
私達は、荒れ果てたエンジェ星を歩いている。
アクア君が私の前を歩いていて、なんとなく話しづらい状況だった。
「アクア君…」
でも、私は不意にアクア君に話しかけた。
「何だ?」
アクア君は振り向いて、私の方を見た。
アクア君はララちゃんと同じ体。だからとても似ているのは当たり前。
なんだかララちゃんと違うのは目つきが鋭いのと、髪の毛の留め方が後ろという事。
あと、もう一つこれが一番重要なんだけど、アクア君の場合胸元のエンジェクリスタルが赤色になっているの。
ララちゃんの通常の場合は青色なのに、アクア君になると赤色になるんだ…。
「人をじろじろ見て、どうしたんだ?」
アクア君はちょっと不機嫌そうな目で私に言った。
「あ、ごめん…なさい…。あの、アクア君、何処に行こうとしてるの…ですか?」
「どうしていちいち敬語になるんだ?俺と話す時は…そうだな。ララと同じとまでにはいかないと思うが、結構親しげに話して良いんだぞ?それと…君というのは、やめてくれ…。せ、せめて呼び捨てで構わないからさ…。俺、こう見えても男扱いされるのが苦手なんだ…。まあ、俺もさ、女だし」
アクア君は笑ってそう言った。ソウには考えられない言葉だな~。
意外にアクア君も乙女なんだね。
<俺とアクアを比べるな>
心を読まないでよ・・・。まあ、同じ体だからしかないといえば仕方ないんだけどね。
「じゃあ、アクア…ちゃんでいいかな?」
「…まあ、いっか」
<うまく丸め込まれたな。アクア>
「うっせえな。ソウ」
ソウがアクアをからかうように言うけど怖い声で言い返される。
やっぱりぱっと見…男の子だよね?アクアちゃん。
「お、キョウ」
「何?アクアちゃん」
アクアちゃんが何か見つけたようで前の方に指をさす。そこには…荒れてはいるけど、形の残ってる建物があった。
「あれ…中に人が居るよな」
「うん、絶対人が一人くらいは居ると思う」
私達は、その建物の中に入って行った。
それは、城みたいな建物で…ううん、実際にお城だったんだと思う。
そうだとしたら…きっと、此処には、昔ユアさんが住んでたんだと思う。
「すみませーん、誰か居ませんかー」
私は建物の中に入って誰かいるかを確認する。
そして、奥の方の部屋に明かりがついているのを見た。
「あれ?誰か居る・・・」
「みたいだな」
「お姉ちゃん達。誰?」
そこには、天使の様な羽根を生やした女の子と男の子が居た。
まあ、此処はエンジェ星だから、エンジェ族には白い羽根が生えている。
「あのね、私達は、地球から来たの」
「チキュー?」
女の子は地球の事がわからないみたいで、首をかしげていた。
「チキューの事なら、たぶんおばばさまが知ってるよ」
男の子はそう言った。お婆様…という事は、ユアさんの事も知ってる筈。
「その人に、会わせてくれないかな?」
「いいよ!お兄ちゃん、お姉ちゃん、僕についてきて!」
「うん!って…あ」
私は男の子に返答をかえした所で気づいた。
アクアちゃんの事だ。
私がアクアちゃんの方を見ると怒りを必死に抑えるアクアちゃんが居た。
「…子供相手に怒鳴っちゃいけねえ、俺は大人だからな、だが…だが…」
アクア君はついに怒鳴ってしまった。
「俺は女だあああああああああああああああああああああっ!」
続く
歌姫戦士ボカロボット第28話
アクアwwww
次回予告
アクア「俺達は男の子に連れられてお婆様という人の所へ来た。そこで真実が語られる…っていうか俺は女だ!断固男扱いは拒否する!だから、俺は女だああああああっ!次回「エンジェでの事実」ソウ!てめえも俺を男扱いするのかてめっゆるs」
あれ?初めてのギャグ次回予告ww
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