5月14日

 今日の”火葬”にはお客さんがいた。おじいちゃんに聞いてたから見物人がいることは知っていたけど、やっぱり人前で歌うのは緊張するなぁ。なんて思ってたらびっくり。お客さん、泣いちゃってた。

 男の人があんなに泣いてるのなんて初めて見たから、驚いて顔をそらしちゃった。そんなに思い入れのある楽譜だったのかな?





5月15日


 カイトさんという人と知り合った。足を挫いたところを助けてくれて、病院まで私を運んでくれた。昨日はすぐに目を逸しちゃって気付かなかったけど、”火葬”を見てたお客さんだった。

 歌の大会に出ないのかって聞かれて、つい冷たい言い方をしてしまった。反省。カイトさんは私の歌を綺麗だって言ってくれたけど、そんなに良いものじゃないよ、私の歌なんて。カイトさんが優しい人だから、きっとそう思うだけなんだ。





5月21日

 カイトさんがまた火葬を見に来た。こんなものを見たって面白くもなんともないと思うんだけどな……。自分の書いた曲を看取りたいから? それとも私の……ううん、そんなはずないよね。

 でも、そうだ。私が燃やしている曲ひとつひとつに、カイトさんみたいな作者さんがいるんだなって思ったら、もっとちゃんと心を込めて歌ってあげなきゃって気がした。

 だから、火葬を依頼された楽譜の中で、私が一番気に入った曲を選んで歌った。私なんかの声でも、音になるならこの曲も少しは報われるんじゃないか、って。

 カイトさんはどう思ったかな……?





5月28日

 びっくりした……。学校帰りにカイトさんに会った。今週の土曜に用事に付き合って欲しいと言われた。横にいた友達にはきゃーきゃー言われるし、相談したルカには「デート?デートなの?ねえねえ?」なんてからかわれるし、もぉカイトさんももう少し場所を選んで誘ってくれたらいいのに。

 思わずデートじゃないよ!なんてルカには言っちゃったけど、やっぱりこれってそういうこと、なのかな?? 週末、なに着ていけばいいんだろ。

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【小説化】火葬曲28 ミクの日記1

No.D様の火葬曲からイメージを膨らませて小説化しました。視点を変えてミクが感じたことを日記形式で書きました。

原曲様→https://www.nicovideo.jp/watch/sm6074567

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投稿日:2023/10/18 19:56:56

文字数:864文字

カテゴリ:小説

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