ifになる。

酷く長い夢を見ていた。
その夢を現実と思って生きていた。
現実は何も変哲のない僕で、
見ていたものは華やかだった。
でも僕は改変出来た。
過程は何処までも変えられた。
猫が死んでも変えられた。
祖母が死んでも変えられた。
それらは今生きている。
終末は変わらなかった。
僕が最後に求めた物だけは。
絶対に離れて行った。
諦めた時には、それが手に入る過程を通れた。
憎い君を消したい。
諦めたら消えた。
他の物を望んだ時、君が消えた。
別の物が離れて行った。
お前が欲しい。
お前の才能が欲しい。
お前と言う人間に興味はない。
ただ、その立ち位置に憧れる。
やはり離れて行った。
今それ以上の物は要らない。
駄菓子も手元に来る。
言葉も望み通り。
一番じゃないものは全て望み通り。
僕は家族を一番と思えていないのか。
そんな事はないよな。
手にした物全て一番だよな。
何も手離したくない。
もういいよ。
今ある物が一番だ。
他に何も要らない。
好きも嫌いも憧れも妬みも恋も愛も。
消えた。
感情一つ残して全て死んだ。
家族も仲間も猫も死んだ。
世界が死んだ。
目の前に一つ。
青黒い結晶がある。
それだけ。
何も無い世界では何も求めない。
求められないの間違いか。
何も無い世界では何も諦められない。
僕のifは、ここが終末だったんだ。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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ifになる。

変えられると思っていた。
そんな世界に揚げ足を取られた。

閲覧数:53

投稿日:2020/10/20 21:59:46

文字数:575文字

カテゴリ:小説

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