青春にあたる十代は何年も前に過ぎ去ったけれど、
「今青いままでこのまま、」
夢や希望や大志や、美しい青はいつしか剥がれ落ちたみたい。純粋とか多感とか自意識とか、残った青は未だに鮮やかで、けっこう目に染みるんだ。
制服を脱ぎ捨て、スーツに着替えた。
色んな人と出会って、刺激を受けた。
経験を積んで、成長した。
だんだん心の凹みも増えた。
それでも青は穢れない。
それでも今は鈍らない。
その理由が分からない。
歳を重ねるごとに濁る青。
黒と混ざり合った美しい藍。
大人になるのに成功した証のようで、みんなが羨ましかった。
僕は、今青いままでこのまま、青の名残に染まっていく。
街ゆく人の心の奥、密かに、でも確かに、今も揺らめく澄んだ青。
感じやすい僕なら、見つけられるかな。
「君だけじゃないよ。ひとりじゃないよ」
今でも青い僕なら、本当の「大丈夫」で君の心を抱きしめられるかな。
そんな僕なら、少しは胸を張れるだろう。
僕は感じやすい。だけど、それは悪い意味ばかりじゃない。
感じやすい僕は、誰かの鋭いつぶやきだけじゃなくって、同じように側にある誰かの優しいささやきにだって気づける僕なんだ。
僕は感じやすくて傷つきやすい。同じように、僕は感じやすくて喜びやすい。
ずっと勘違いしていた。
若いから、青いんじゃない。
僕だから、こんなにも青い。
この美しい青は僕である証。
いつまでも青を忘れないで。
いつまでも青いままで。
青の名残、
僕を清く染め上げて、
僕を軽く仕立ててよ。
青春にあたる十代は何年も前に過ぎ去ったけれど、
「今青いままでこのまま、」
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