★★ Attention!★★
このお話はryoさんの「ワールドイズマイン」と
あにまさんのアナザーに触発されちゃった感じのお話です。
故にカイミク(寧ろあにミク…?)が苦手な方はご注意を。
そしてあくまでベースにしただけで、妄想部分もいっぱいです。

当然ご本人には全くもって関係ありません。
問題があるようでしたらすぐに削除します。


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その日は私も兄さんもいつもよりも早く起きた。
みんなが起きるよりも前に、
誰にも内緒で家を出て2人だけで遊園地に向かった。

「どうせなら1日中遊びたい」っていう私の希望を、
前日も遅くまで仕事だった兄さんは叶えてくれた。
ホントはもう1つの理由があったけど、それには兄さんは気付かなかった。

前日にわかったことだった。
不思議なことに兄さんはこのことを誰にも言ってなくて、
もちろん私も喜んでると思われたくなくて自分からは言わなくて。

てっきり兄さんが誰かに言ったとばかり思っていたのに、実は誰も知らなくて。
だから留守番組の3人が駄々をこねることも当然なくて、
だから、私は兄さんと2人だけの時間を過ごせると思った。

私は少しだけズルい子で、
でも、やっぱり少しでも長く一緒にいたかった。



一生懸命悩んだ服も髪形も、
兄さんは「似合ってる。可愛いよ」って褒めてくれた。

遊園地に着くまで、
疲れてるんだから寝て良いって言ったのに
兄さんは大丈夫だからと言って色んな話をしてくれた。

着いてゲートをくぐろうとすると少し前を歩いてた兄さんが振り返って、
まるで王子様がエスコートするようにスッと手を差し出して、
ちょっと恥ずかしかったけれど、私はその手を取った。
何だかお姫様にでもなったかのような気分だった。

久しぶりの遊園地はとても楽しくて、
兄さんが一緒だったから、余計に楽しくて。
最近ずっと空いていた心の穴を、埋めてくれる感じがした。



今日のことは、私と兄さんだけの秘密のはずだった。
今日だけは、今日1日だけは、私だけの兄さんでいてくれると思った。

別に、高価なプレゼントが欲しかったわけじゃない。
豪勢な食事がしたかったわけじゃない。

・・・ただ。

ただ、一緒に居て。
今日だけは私だけの兄さんで、
今日だけは私のことだけ考えて欲しかった。

我侭かなって思ったけど、
それでも独り占めしたいって気持ちは我慢できなかった。

特別に、なりたかった。









「ミク、ちょっとあの店寄っていいか?」

『別に良いけど…どうしたの?』

「いや、やっぱさ、お土産買ってかないと。」

『え・・・?』


内緒、だと思ってたのに。


『お土産って…誰に?』

「誰って…決まってんだろ。
 家で留守番の双子とお姉さまにだよ。」

『・・・・・・』


私と兄さんだけの秘密、だと思ってたのに。


『・・・じゃないんだ。』

「ん?」

『みんなに内緒、ってわけじゃないんだ…?』

「んー…まぁ内緒にしたってどうせバレそうだしな。」


私だけのこと、考えて欲しかったのに。


『良いよ…お土産なんか買わなくたって。
 ホラ、帰る時間とかちょっとズラせばわかんないかもしれないし…』

「いや、でも俺たちだけ楽しんじゃったらやっぱり悪いだろ」

『でもっ…でもさ!
 お土産だけ買ってったら、逆に何で連れてかなかったのかって怒ったりとか…』


何で、何で。
他の人のことなんて考えちゃうの。


『だったらいっそのこと買わない方が良いかなーって思って…
 あっ、それにね、私まだ行きたいアトラクションあるの!
 だからお土産なんて選んでたら時間なくなっちゃうし早く―――…』

「ミク。」

『っ……』


少しだけ、兄さんの声のトーンが下がるのがわかって。
いつもの優しい声だけど、ちょっと怒ってるって、空気で感じる。

別に、我侭言いたいわけじゃないのに。
ただ、私と一緒にいてほしいだけなのに。
今だけで良いから、私のことだけ考えて欲しいだけなのに。


「ミクだって、もし俺と誰かが内緒で出掛けてたら怒るだろ?
 それと一緒だよ。俺たちが内緒にしたら誰かが―――…」

『…いい………』

「ん?」

『もういいっ…兄さんなんて…カイトなんて知らないっ!!』

「ミク!!」

『ッ……カイトのバカっ!!』




何で、何で、何で、何で、何で。

何で、私が怒られないといけないの?
何で、私が我慢しないといけないの?

私は―――…私は、ただ。

素直にはなれないけど、兄さんのことが好きで。
だから、一緒にいたくて、いられなくて、淋しくて。

ずっとずっと我慢してたから、だから今日だけはって。
今日だけは私だけ見てて欲しかったのに。
今日だけは兄さんにとっての特別になりたかったのに。




『ッ……!!』

「おい、ミク!!」


淋しくて、悔しくて。
行くアテもなくただその場から逃げ出した。

暫くは兄さんが私を呼ぶ声が聞こえて、
でもそれもすぐに聞こえなくなって。
もしかして、なんて思ったけど兄さんは追いかけてきてはくれなかった。

当たり前だ。
自分でも、よくわかってる。

私が、無茶言ったから。
私が、悪い子だから。

あんな風に怒った兄さんなんて、滅多に見たことない。
あれは、きっと本気で怒ってた。

今日だけは特別にしたかったのに、
もしかしたらもう兄さんは私のことなんて嫌いになっちゃったかもしれない。


『カイトのっ…バカっ…!!』


頭ではわかってるけど、心がついていかない。

だって、だって、今日は本当に楽しみで。
兄さんが誘ってくれたあの日から嬉しくて仕方なくて。
他の誰でもない私だけの兄さんでいてくれる日のはずだったから。


『…っく………』


次から次へと目から涙が溢れて。
めちゃくちゃに走り抜けて、気付いた時には遊園地の随分奥に来ていた。
どこをどうやって走ってきたのか、全然覚えていなかった。

ただあれ以上あの場所にいるのは耐えられなくて。
ひたすら、兄さんから離れたところに行きたくて。
とにかく闇雲に、周りの人の視線も気にせずに走り続けた。

その間も涙はずっとずっと止まらなくて、
とりあえず近くにあったベンチにフラフラと倒れこむように座った。
拭っても拭っても涙は溢れて、嗚咽がずっと自分の耳に響いていた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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【小説】セカイでダレよりオヒメさま vol.2

2コ目ー。
多分あと1話で終わるはずー。そこが1番書きたい…!v
てゆかツンは難しいですねー…キャラが保てない…OTL

閲覧数:965

投稿日:2008/06/11 21:30:00

文字数:2,702文字

カテゴリ:その他

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