3-4.

 神崚高校までは、いつも登校するときと変わらない。でも、学校に近付く度に、心臓のドキドキは激しくなっていった。
 制服じゃないからっていうのもあるかもしれない。私服で行くっていうのはなんだが慣れないけれど、だからって制服でいくのは、それはそれで恥ずかしい気がする。
 高校の校門から入って、敷地がつながっている大学の方に向かうと、やっぱり平日のせいか、高校と違って大学のほうの敷地には人がちらほら見える。
 へ、変じゃないかな――?
 近くの建物のガラスをのぞき込んで、そこに写っている自分の姿をチェックしてみる。
 着てきたのは白い長袖のブラウスに、柄のない黒のプリーツスカートで、足元には白のパンプスをはいている。
 思った以上にシンプルになってしまった気もする。でも、これでも家の洗面台の前であれこれ悩んだ結果なのだ。スカートの裾が膝下まであったのを、膝上になるまで折り曲げてみたり、ブラウスの下にいつも着ているキャミソールを脱いで、わざと下着が透けて見えるようにしてみたり。
 恥ずかしい。それはもう、とんでもなく恥ずかしい。でも、海斗さんに「可愛い」って言って欲しいもの。そのためなら、は、恥ずかしいけど、これくらい。
 ママのをこっそり借りて、化粧もしてみようかとも思ったけれど、使い方がよくわからないからやめた。今度、愛に教えてもらおう。
 ガラスに写る私の姿を見ると、プリーツスカートの裾がすこしめくれていた。それを指でつまんで整えると、ちょっと考える。
「むー……」
 試しに、ブラウスのボタンの上から二つ目も外してみた。当たり前なんだけど、一つだけボタンを外してたときよりも胸元がはだけてる。かがんだりしたら危険なことになりそう。
 恥ずかしくてまたボタンをとめたけど、しばらく考えてから私は結局ブラウスのボタンは二つ外すことにした。
 だ、だだだって。か、海斗さんになら、見られたって……いいもの。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

ロミオとシンデレラ 14 ※2次創作

第十四話。


実は、まだメイクをしたことがない未来嬢。
「背伸びをした長いマスカラ」という歌詞を忘れてるわけじゃないですよ。
ならいったいいつそのシーンが出てくるのか。
・・・・・・ちゃんと出てくるよ。たぶん。

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投稿日:2013/12/07 12:53:14

文字数:818文字

カテゴリ:小説

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