-お使い-
レンが着替えを終わらせて帰ってくると、丁度ルカとメイコが買い物袋を手に提げ、帰ってきたところだった。
「あら、カイト、早かったわね」
少し驚いたようにメイコが言うと、カイトは笑顔で答える。
「だってめーちゃんに早く会いたくて」
また、へらっと笑う。
「それはいいのですが、カイトさん、頼んだはずの夕食の材料がいくつか足りません」
キッチンにすでに置かれていた買い物袋の中を見て、ルカは顔をしかめながらそういった。後に続いて、メイコが買い物袋の中をのぞくと、
「あら、本当。ちょっと、カイト、もっとしっかりしてちょうだい!」
おこられると、カイトはちょっとしゅんとして
「はぁい…」
と子供のようにふてくされながら答えた。
「…でも、主はすごいですわ」
「付き合い長いもの」
そんな二人の会話を聞き、会とが何のことかと顔を上げると、メイコが手に提げていた買い物袋の中から、カイトが買い忘れたものがポンポンと某猫型ロボットのポケットのように出てくる。
「まあ、カイトがそれを忘れてくるのは想定済みだったわ」
「まさかこうもぴったり合うとは思いませんでした」
どうやら、カイトなんかよりも、メイコとルカの方が数段…いや、数十段上だったようだ。
「そうだ。リン、ちょっとお使い頼まれてくれない?」
「えぇ? これから宿題やるんだけど…」
「嘘つくんじゃないの。私があんたの行動パターンを読めないとでも?」
「うー…。わかった、行くよ、仕方ないなぁ。で、何を買ってくるの?」
「ええと、今メモするから待ってて…」
パタパタと電話の横においてあるメモ帳をとりにいき、ペンで必要なものを書いていきながら、他に必要なものはなかったかと考えをめぐらせる。忙しい人だな、と思いながら、レンはため息をついた。
いや、ついこの間まで、自分たちもこれ以上に忙しかったではないか、と、そんなことを思うため息だった。カイトの件も神威の件も、勿論レオンのこともメイトとカイコのことも、すべてを通して、忙しいなんてことじゃない。それをどうにか乗り越えて自分はここにいるのだと思うと、この平凡な景色すらすばらしく思えるのだ。
「――レン、行くよ!」
「え、俺も?」
「当たり前でしょ、使い魔なんだから!」
「えー…。理不尽!」
納得していないレンの服の襟を強引につかむと、リンは笑顔で行ってきますをいい、レンを引きずってお使いに出て行った。
「ホント、嵐みたいな子を産んだよね、めーちゃん」
「…否定は出来ないわね」
「寧ろ肯定するべきですね」
三人がそんなことを言っていたとは、二人は知る由もなかった…。
メモを見ながら、リンは買い物籠にものを放り込んでいく。ちなみに、そのかごを持っているのは勿論レンである。
「リン、なんか多くねぇ?」
「多くない。ちょっと品数を増やしてるだけ」
「だから多いって」
そんなレンの文句などお構いなしに、リンは食べたいお菓子だのかわいいヘアピンだのを入れていく。そのたびに、レンガも使い物かごは重くなっていく。別に、そんなことはいいのだが、何故、かごを持っているレンが物を入れようとするとおこられるのだろう。
「レン、変なもの入れないでよ!」
「変なものって何だよ! スポーツドリンクだろ!」
「出費が増えるの! もう、それくらいわかるでしょ!」
「その言葉、そっくりそのままお前に返す」
「なによぅ」
二人がそんな話をしていると、ふと、リンが声を上げた。
「あっ」
「ん?」
リンが指をさすので、その先を見ると、思わずレンも声を上げる。
「あっ」
その先には、あの先生がいたのである。
「氷山先生だ」
めがねははずしているが、確かにキヨテルだ。耳にはやはりカフをつけている。
一人だけで買い物をしているらしい。
「…一人だよね」
「ああ」
「声、かけてみる?」
「…俺はやめとく」
「あっそ。じゃ、私もやめとこ」
二人はその場を後にしたが、レンはなんだか、まだキヨテルのことが気になるような気がした…。
鏡の悪魔Ⅴ 5
こんばんは、リオンです。
今日は日付が変わらないうちに投稿できてるでしょうか…!
うわさを聞きました。
学校の先生が、思い切り人前でダブルラリアットを熱唱していたと…!
どうしよう、あの先生…どうしよう!!(何
もっと信者を増やすか(キラーン
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