秘密
「それじゃ、またね」あなたに背を向けて歩く道
ポケットにはあなたの温度が残るあたしの手
さっきまでの何気ない会話を思い出して
首に巻いた長いマフラーの奥で笑ってみた
「時間が経つのがあっという間だな」あなたの言葉にうなずいて
「もう少しだけ」そう言いかけて言葉を飲んだ
あたしは知っているの。あの子が想ってるのよ。
そのしぐさもその笑顔も全部大好きで仕方ないの。
あたしにはあなたもあの子も選べないから
胸の中に隠してるの、ずっと。
甘い甘い秘密
「あのね、聞いて」あの子の恋話を励まして
急になんかむなしくなって見上げた月の夜
バイクの後ろ二人ではしゃいで手を放してふざけては
怖がったふりして回した背中に力込めた
あの子は知らないのよ。あたしが思ってること。
長い指をその声をもっと近くで感じたいの。
あたしはこれからも嘘を吐いていくから
夜空だけは覚えていて、ずっと。
甘い甘い秘密
「それじゃ、またね」繰り返して芽吹いた恋の芽は
きっと春を知らないまま凍えてしまうんだ。ああ。
あたしは知っているの。あの子が想ってるのよ。
その想いはその言葉はきっとあなたにも届くのでしょう。
あたしはこれからも嘘を吐いていくわ
胸の中に隠しながら、ずっと。
甘い甘い秘密
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