そっけなく君が渡した小包を
開けたらふわりと君の香りがした
ずっと部屋に置いてたんだなと
思いながら取り出してみたら
それはアイシャドウ
700円のアイシャドウ
あなたにとっては高い買い物だったでしょう
私のためにあなたが
たくさん悩んで買ってくれたものだろうから
これは私の宝物

これで彩ってどこに行こう？
彩った目で何を見よう？
君と彩ったこの目に映る世界は
きっときらきらに輝いてる

君が後ろから覆った手に
アイシャドウのラメがついて
やけにキラキラと光っていた
きらきら光る思い出がまたひとつできていく
ねえこれからもずっと一緒にいよう

そっけなく君が立ち去っていく時
翻す風に君の香りがした
これは二度と嗅げないんだなと
ポケットから取り出してみたの
君のアイシャドウ
700円のアイシャドウ
本当は肌に合わない色、なんて思ったけれど
私のためにあなたが
たくさん悩んで買った初めてのプレゼント
結局今も宝物

これで彩って見た場所
彩って見たものの全て
君と彩ったこの目に映る世界は
全部きらきらに輝いてた

涙が染み込んだテッシュには
アイシャドウのラメがついて
やけにきらきらと光っていた
きらきら光る思い出を過去にしてしまいたい
でもそれを丸めて捨てるなんてやだ

ずっと使っていたアイシャドウは底が見えてきた
チップももうボロボロになってきた
蓋にあったはずのプリントはもう消えた
それなのに私は肌にも合わないこのアイシャドウを
ずっと大切にし続けるのでしょう

四つの色を混ぜた瞼は
アイシャドウのラメものって
やけにきらきら光っている
それなのにたったの二色でできたあの光は
何よりも輝く忘れない光