ある日目が覚めたら知らない場所にいて、周りには知らない人ばかり倒れていた…。



なんていうのは、ちょっとした日常茶飯事だった。

「…また、やらかしたね…」

私が話しかけた相手は寝ているのか、返事は無い。
ちなみに、私の目の前には誰も立ってないし、周りに倒れている知らない人に話しかけているわけでもない。
私が話しかけているのは、私の中にいるもう一つの人格。アクアだった。

「まったく、何があったらこうなるんだか…」

私はその時寝てたから分からないけど、恐らくいつものように喧嘩を売られて買ったのだろう。
私が今着ている服はいつも着ている服と大体同じだけど、リボンがネクタイになってたり、いつもはスカートをはいてるのがズボンになってたりしていて、長い髪の毛を後ろでくくっている。
こうすれば、アクアが表に出ている時は大体男に見られるらしい(本人は無自覚らしいけど)。

「それにしても、どうしたら本当にあんな風になるんだろう」

私って少し男っぽいところあるのかな?とか思ってみるけど、そんな事は無い。断じて。
私は生まれてから(つくられてから?)一度も性別を間違えられた事は無く、恐らくこの体で男に間違えられるというのはアクアだからこそできることなんだろう。

(んあ゛…ふあー…。よく寝た)

「オッサンみたいな声出してないで、状況説明して」

私が話したい相手は起きたらしく、私はアクアに向かって言った。
幸い、周りに人はいない(倒れている人を除いて)ので、私は声に出してアクアに問い詰めていた。

(そ、そんなに怒るなよ…。ただ、俺に喧嘩売ってきやがったからぶちのめしてやっただけだ)

「あのね、この体を誰のだと思ってるの?それに、私が喧嘩したって、ラルにどう言えば良いの?」

(それは、ララじゃなくて俺が喧嘩したって言えば良いんだよ。ラルさんに説教されるのは目に見えてるけど)

「その説教につきあわされる体の持ち主の身にもなってみてよ…」

私は少し溜息をついた。
まったく、アクアの喧嘩癖も治らないんだから…。

「で、この格好なのは…まあ、何も言わないとして…。どうしてこの場で私に戻ったの」

(それはな…眠くなったんだよ)

はっきり言うもう一人の自分に対して少し怒りを感じたのは気のせいだよね?

(だ、だから反省してるから怒るなって!)

「まったく、同じ体を共有する存在…しかも同姓だとは思えないよね…」

(そ、そんなに俺って男っぽいのか…)

「一人称が"俺"の時点でね」

(…ああ…)

其処まで無自覚だったんだ…と思いながら、私は服装が乱れていないか確認し、家に向かって歩き出した。

「でもさ、それでもいいんじゃない?アクアはアクアなんだし。アクアが普通に女の子っぽくしてたらラルも私もルルもルンちゃんもロン君もきっとどこか体調不良?精神崩壊?とかおもっちゃうよ。あ、その前にルンちゃんやロン君はアクアって気付かないか」

(う゛…)

「ま、そゆこと。アクアはそのままだからアクアって認識されるんだよ」

(だが、それと男って思われるのとは別だよな!だって、ミユウだってあんなに男っぽくしてるのに普通に女だって分かるんだぞ?)

「ミウウちゃんとはまた話が別な気がするけど…それはミウウちゃんは弱点とかがあるからじゃない?ほら、ミウウちゃん無視苦手じゃん。それに、女って事を隠してるわけじゃないし」

(俺も女だってことを隠しては無いんだが)

「え、そうなの?」

(…………………)

「いや~ごめんごめん(笑)」

(…疲れた…)

「でもさ、私このままの格好で帰るの嫌だから。アクア交代してね」

(へ?)

「だーかーらーっ!私にアクアの格好のまま家に帰らすの?」

(…すまん。じゃあ…)

「でも、暴れるとかはやめてね?おやすみ」

(ああ、おやすみー…)

*****************************

「全く、ララの奴…其処まで俺は野蛮な奴じゃないっての」

ララに言われた事が気になりながらも、俺は家へ向かっていた。

「つか…俺って、意図的に低くしてるわけでもないのに声が低い時点で女名乗るの無理じゃね?」

「…そもそもララの体で何故そんな低い声が出る」

「う~ん、確かにな…ってうぉうぅっ!?」

俺の横には、何時の間にかルルが居た。

「…そんなに驚くものでもない気がするが…」

「す、すまん…」

「…ララは?…っていうかお前今まで何してた…」

「…喧嘩売られて買って相手ぶちのめしてた。事情説明したらララは呆れて寝た」

「そりゃ…寝たくもなるだろうな…。それに、アクアの格好のまま歩きたくも無いだろうし…。僕がララの格好して歩くのと同じような感じだよ…」

「……それって遠まわしに俺がこういう格好してる時点でも女っぽさが無いといいたいのか…」

「そんなところ。さあ、早く帰ろう。そして事情説明早くして一人だけでマスターの説教受けろ。あと、僕の事を巻き込むような事はするなよ…。アクアの尻拭いはしたくない。あ、でもララを巻き込むくらいなら…Lを巻き込め」

「…誰も巻き込まねぇよ。俺は自分の落とし前くらい自分でつける」

(そういう意気込みとかをしてる部分も普通に男だよな…)

とある日のアクアの話。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

ある日の真音家 アクアについてとか?

アクアが書きたくなった。ただそれだけの話

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投稿日:2013/01/06 16:46:44

文字数:2,208文字

カテゴリ:小説

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