【ミク・がくぽ】ロミオとMissレッドラム【オリジナル】

語られるは　赤い羊の物語　御耳拝借
恐怖に彩られた　悲しい迷い子の　本当の色
指折り数えた世界がもたらすのは　絶望の渦
「指が足りない」　そう嘆いた観測者
今宵この場に　幕が開く

折れた銀十字の御前に　膝を折り　赦しを乞うて
雪降る協会に　真新しいナイフ　葬り去った
青い鳥を捕まえたくて　明けの月　睨みつけても
戯るように　嘲るように　白いでく
この目にはもう　映らない

紅い羊は両手を見た　ただ一度　過ちの色
逃げたくて　切なくて　塗り重ねた色　雨に流され
返り咲いた掌　また咎を起こし　胸を突き刺す
紅羊(もみじ)の錦　抗うこと　未来さえ
朽ちた木々のよう　還らない

終幕を見ていた　限りない世界の
終幕を見ていた　陰りない過去の
羊は目を閉じた　孤独に疲れ果て
羊は眠った　ただ消えたくて

扱い慣れた諸刃の刃　そっと　天にかざし
（本当は　消えたくなくて）
「せめて一緒に消えて、お星様。」
（それでも　この悪夢は覚めてくれない）
横たわっている　かつて在りし温もり
（ありがとう　届かないけど）
私の喉を潤した器に
（「噛みついちゃってごめんね？」さよなら）
子守唄をあげる

夜は　静かに　閉じた


夢解ける場所　夢見た場所　宵は果て私は眠る
悲しくて　切なくて　涙飲み干した　泉は枯れて
光射す窓辺にも踏み出せずに　まだ想い焦がして
上手にお化粧しても　浮き出る錆色
欠けた歯車　還らない

また生まれた世界　外側から見てる
また生まれた世界　触れたら壊れた
羊は憧れた　見た事のない夢
羊は願った　暖かい夢

おやすみなさい　目覚ましは要らないわ
（本当は　消えたいけれど）
冷え切った銀の銃口　私を射抜いて
（それでも　この悪夢が赦しはしない）
横たわっている　かつて在りし温もり
（ありがとう　届けに行くね）
怖くない　次に産まれる私は
（もうすぐ　また会えるね　おやすみ）
きっと笑っている


紅い羊は　神に看取られ逝った
灰に宿る　子守唄は　朱（あけ）のレクイエム
誘われる声　舞い降りる鳥たちの
「この羽の青きを知れば、羊よ、初めて笑えたか？」

夜が　静かに　明けていく　この物語