外が暗くなり風雨が強まって来た。窓を打つ水滴は容赦無く音を立て、水溜りを作った。
「何か…天気悪いね。」
「ええ、雷が鳴らないと良いですが…。」
立ち上がった瞬間、フラッシュの様に空が光り、直後に大きな音を立てた。
「ひゃっ?!」
「うっわ、PC落として良い?ちょっと危ないし…。」
雷が思いの外近かったせいか、少し忙しなくなる。嵐のせいだろうか…何か…引っ掛かる。
「うひゃ~~外凄い雨だよぉ…雷も鳴ってるし…。」
「どうした?菖蒲。」
辺りを少し見遣った。
「…皆さん、ちゃんと居ますか?」
「え?うん…香玖夜ちゃんは厨房だし、羽鉦さんは自室に居る筈だよ。」
「使土はさっきネムリの様子見に行くってりんごと居るのを見たけど?」
「騎士さんは?」
「先生ならユウ先輩を迎えに…どうしたの?翡翠さん?」
「少し遅くありませんか?」
何だろう…この感じ…。背中がざわ付く様で落ち着かない…。ただの杞憂だろうか?と思うのとほぼ同時にドアが開いた。
「羽鉦さん?どうしたの?青い顔して…。」
「これを見ろ…記者会見の中継だ。」
「誰…これ…?」
『今回我々は、新しい霊薬において、BSの発狂衝動を抑える事に成功し…』
「はぁ?!何だよコレ…新しい霊薬ってあんなヤバイ奴作ってるんじゃん!」
「一般人には判りませんよ、毒は全て私達に擦り付けて、あの霊薬を広めるつもりなんでしょう。
しかし妙ですね…。今迄こんな強引な手段に出るなんて事は無かったのに…。」
らしくない、と思った時だった。
――Piriririririririri…Piriririririririri…Piri…
「もしもし?」
「翡翠!騎士は?!騎士直ぐに出してくれ!」
「啓輔さん?どうしたんですか?」
「…居ないのか?!早くしないと騎士が…!!」
「どう言う事ですか?!」
「【MEM】が…!」
「啓輔さん?」
「【MEM】が乗っ取られてるんだ…!!」
外は嵐だった。
BeastSyndrome -85.反逆者は笑う-
壊れるのは何?
壊れるのは誰?
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